銀杏BOYZ ALBUM「光のなかに立っていてね」ディスクレビュー

光のなかに立っていてね

ALBUM

銀杏BOYZ

光のなかに立っていてね

初恋妄℃学園

2014.01.15 release

<CD>


僕たちは世界を変えることができないのか?

新春に9年ぶりの新作リリース、というめでたいニュースと相前後して、11月に安孫子真哉(b)とチン中村(Gg)が脱退、そして12月には村井守(d)も新作リリースをもって脱退すると表明し、残るは峯田和伸(vo)ということになってしまった。だが4人が渾身の力を注いで新作を作ったのは間違いないし、この4人の銀杏BOYZとして最高傑作になったと思う。

しかし9年という年月は恐ろしく長い。小学校入学から中学卒業までだ。その間に5枚のシングルを出してきたが、それが綴ってきた以上の変化が銀杏BOYZに起きていたことを本作は物語っている。ノイズやエレクトロニカを取り入れたサウンドに誰もが驚くことだろう。そうせざるを得なかった峯田とメンバーの葛藤も見える気がする。同時発売のライブ・リミックス盤『BEACH』はライブを触媒に、そして本作は既発曲と新曲を並列することで、自分たちの何が変わらず何が変わり何が生まれているのかを確認し、あらたな存在意義を示したかったのではなかろうか。

ノイズまみれで歌う南沙織の「17才」のカバーで幕を開け、ノイズ・バンドの代表格、アインシュテュルツェンデ・ノイバウテンの名を歌詞に織り込んだ新曲「愛してるってゆってよね」で”ロックは馬鹿ばっか”と自虐的に歌ったかと思うと、ひらがなの「あいどんわなだい」ではなく英語の「I DON’T WANNA DIE FOREVER」は4つ打ちで踊りながら自らの弱さを暴露し、極上のラブ・バラード「愛の裂けめ」ではノイズの中でのたうち回る。終点に着きそうな「新訳 銀河鉄道の夜」、ドラマチックなバラードに変わった「光」、切実さより力強さを増した「ボーイズ・オン・ザ・ラン」は如実にバンドの成長を伝えているのが逆に切ない。やけにポップな新曲「ぼあだむ」が結論なのか始点なのか、エレポップ仕立てになった最後の曲は醒めた調子で“僕たちは世界を変られない”と繰り返す。それは世界を変えられなかった絶望ではなく、自分たちが年月を経て変わってきたことへの諦観のようにも聴こえてくる。けれども奥底にあるやり場のない焦燥や怒りは以前と変わらないはずだ。「東京終曲」(『BEACH』収録)のMV(約43分の短編映画)で峯田は相変わらず下着姿だが最後は孤独と愛を抱えて歩いて行く。暗示的なシーンである。

(今井智子)

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