RX-NIGHT Vol.5 – [Champagne]やBIGMAMAらが所属するレーベルの年末恒例イベントをレポート!

RX-NIGHT Vol.5

東京・下北沢にある音楽レーベル“RX-RECORDS”が企画し今回で5回目を迎える年末恒例のイベント“RX-NIGHT Vol.5”が12月27日、東京・新代田FEVERにて行われた。出演したのは[Champagne]、RIDDLE、静カニ潜ム日々、BIGMAMA、そしてトリを努めたasobiusの5組。今回、WHAT’s IN? WEBではその模様をレポートする。

INTERVIEW & TEXT BY 山口智男 / PHOTO BY Azusa Takada

 

今日は最後の2曲以外はセットリストを考えていません。おまえら次第だ!
-[Champagne]-

RX-NIGHT──と書いて、RX忘年会と読むらしい(笑)。

BIGMAMA、[Champagne]といった人気バンドが所属するインディ・レーベル、RX-RECORDSが毎年、所属バンドや所縁のバンドを集め、年末に開催している年忘れライブ・イベント。5回目の開催となる今回、初めて足を運んでみたところ、開場と同時に場内はぱんぱんになってしまった。

聞けば、ライブの当日まで出演バンドは未発表にもかかわらず、チケットはあっという間にソールドアウトになってしまったという。それも頷ける。RX-RECORDSのイベントなら、所属バンドの誰が出演しても間違いなく楽しめるはずだ、とほとんどのファンが思っているのだろう。

というわけで、トップバッターはまさかの──いや、案外、予想していた人は多かったかもしれない[Champagne]だ。

「オープニング・アクトの[Champagne]と申します! ようこそ! 今日は最後の2曲以外はセットリストを考えていません。おまえら次第だ!」

川上洋平(vo、g)の第一声にどよめきが起こる。1曲目は普段ならライブのハイライトに演奏することが多い「Kick&Spin」。ダンサブルなリズムが心地いいサビでは観客全員がバンドと一緒に歌い、早くもクライマックスを迎えたんじゃないかと思えるぐらいの盛り上がりだ。

「何やってほしい!?」と川上が尋ねると、観客が口々に聴きたい曲のタイトルを叫ぶ。聞こえているのか聞こえていないのか、バンドの選曲は「Dear Enemies」。まさに火に油を注ぐようなアップテンポのロック・ナンバー。ライブで演奏するのは久しぶりなのか、危なっかしい演奏に「新鮮だな」と磯部寛之(b、cho)が思わずニヤリ。どうやら本当にセットリストは考えていないらしい。

その後、「Kids」をたたみかけると、「今いちばん押している曲をやらせてください」(川上)と最新シングルの「Run Away」を披露そして、最後に予定していた「Starrrrrrr」を「気分じゃない」と急遽やめて、川上が弾き始めたのは、「Cat 2」の印象的なイントロだった。

待ってましたとばかりに観客が暴れはじめ、性急な演奏に応えるように特大のモッシュ・サークルが出現。BIGMAMAの柿沼広也(g、vo)がステージに招かれ、白井眞輝(g、cho)と熱度満点のギター・バトルを繰り広げると、モッシュはさらに激化。アンセミックな「Starrrrrrr」で綺麗にまとめず、あえて激しい「Cat 2」を持ってきて、熱狂という言葉がふさわしい盛り上がりをダメ押しで作ったところに彼らの剥き出しの闘争心を改めて見せつけられたような気がした。

SETLIST

1. Kick&Spin
2. Dear Enemies
3. Kids
4. Run Away
5. Cat 2

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RX-RECORDSの第1弾バンド
-RIDDLE-

そんな[Champagne]とは逆に、含羞なのか、自分たちの世界観をちょっと斜に構えたように表現したパフォーマンスをみせたRIDDLEは印象的だった。

メロコアをバックボーンに持ちながら、日本人の情緒に訴えかける哀愁のメロディを際立たせた曲を作り続けてきた。イントロ的なインストからなだれこむように演奏がスタートしたこの夜もファンにはお馴染みの「MISTAKE」「Another wish, another future」、もともと、ドラマーだったShunsuke(b、cho)が客席でスネア・ドラムを叩くパフォーマンスを挟んでからの「Mystery」など、激しさの中に親しみやすさと彼ら一流の美学が入り混じる曲の数々を披露。激しいパフォーマンスをくり広げながらももちろん激しさだけで圧倒するわけではない。彼らの演奏をしっかりと受け止めている観客の姿を見れば、メンバーたちが誇りに思い、大事にしているRIDDLEの世界観の魅力はしっかりと伝わっていたことがよくわかった。

いい曲をたくさん持っているという自信はあるが、30分の持ち時間ではバンドの魅力を伝えきれないという理由などから「RX-NIGHTには苦手意識があったけど、去年ぐらいから楽しめる余裕が出てきた」とShunsukeがコメントしてからの後半戦は、Takahiroいわく「RX-RECORDSと出会った頃に原点回帰した」新曲の「H&S」、ダンサブルなビートを交え、メタリックなサウンドをポップに打ち出した「Starfield」、そして「accelerator」と彼らのバックボーンを改めてアピールするアップ・テンポのロック・ナンバーをたたみかけ一気に駆け抜けた。

実は彼らはRX-RECORDSの第1弾バンドである。メンバー・チェンジが影響しているせいか、この2年、音源をリリースしていないが、久しぶりに彼らのライブを観て、そろそろ新しい音源を届けてほしいと思った。

SETLIST

01. never close my eyes
02. MISTAKE
03. Another wish, another future
04.Mystery
05. H&S(新曲)
06. Starfield
07. accelerator

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叙情と激情が入り混じる轟音の演奏を淡々と繰り広げるバンドと、
それを静かに見守る観客
-静カニ潜ム日々-

いわゆる’90年代エモの継承者と言える静カニ潜ム日々は、RX-RECORDSの所属バンドの中では異色バンドと言えるかもしれない。しかし、’07年結成の横浜の3人組の魅力はそんな音楽性もさることながら、むしろそのマイペースから生まれる不思議な存在感なんじゃないか。この夜、彼らのライブを初体験してそんなことを考えた。

叙情と激情が入り混じる轟音の演奏を淡々と繰り広げるバンドと、それを静かに見守る観客。バンドと観客がともに盛り上がる一体感ももちろん楽しいが、静カニ潜ム日々は逆に、その絶妙な距離感が心地いい。そんな魅力は[Champagne]、RIDDLEと続いたあとだからこそよけいに際立ったはず。

もちろん、だからと言って、観客を突き放すわけではない。去年のRX-NIGHTに出演が決まっていながら、川元裕一朗(vo、g、synthesizer)が前日に熱を出したため出演できなかったことや夏に作った扇風機の絵柄のTシャツが売れ残ってしまったため、ハロゲンヒーターということにして売っているというエピソードを、爆笑を誘うわけではなく淡々と語るMCも不思議な人懐っこさが感じられた。

今年4月にリリースした1stアルバム『The Present』からの「break the wall」「carry on」「idea」「step forward」に加え、彼らが’90年代エモの熱心なリスナーであることを物語るアメリカのバンド、エンジン・ダウンの「songbird」のカバーと新曲も2曲、披露。曲の良さがじわりと伝わる好演だった。

SETLIST

01. songbird(Engine Down cover)
02. break the wall
03. carry on
04. 新曲
05. 新曲
06. idea
07. step forward

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あらたなアンセムの誕生
-BIGMAMA-

さあ、いよいよ後半戦。残すところあと2バンドだ。BIGMAMAか!? asobiusか!? 書き忘れたけど、出演順は最後まで未発表なのだ。そして、大方の予想を裏切って登場したのは、[Champagne]と並ぶRXの看板バンド、BIGMAMA。

バイオリンがベートーベンの「運命」のフレーズを奏でる「虹を食べたアイリス」、柿沼のギターのカッティングがファンキーな「アリギリス」、そしてアップテンポにたたみかける「#DIV / 0!」とお馴染みの曲を次々に披露していく。盤石のパフォーマンスは、貫禄という言葉さえ連想させる。彼らのライブを観ると、筆者はいつも多彩なプレイで曲を彩る柿沼のギターに聴き入ってしまう。

中盤、セットリストを決めず、ステージに臨んだ[Champagne]を意識したのか、「俺たちだってリクエストに応えたいんだ。ホントは<Cat 2>」をやりたいんだ(笑)」と金井政人(vo、g)が冗談を飛ばすと、柿沼が「Cat 2」のフレーズを弾き、金井がそれに「来年あたり「Cat 3」を作るかも(笑)」と答えた。

この日は、年間80本のツアーに付き合ってくれたマネージャーをねぎらうため、マネージャーのリクエストに応え、セットリストを作ったそうだ。そんなところもいかにもレーベルの忘年会らしい。

BIGMAMA流歌謡曲なんて言ってみたい「週末思想」を披露すると、「最後にひとつわがまま言わせてください」と金井は客席に下りて行き、「2014年もいい夢を見ましょう」と「Sweet Dreams」を歌い始めた。

観客に囲まれ、金井の姿が見えない……と思っていたら、金井の「しゃがんで」という合図をきっかけに周囲の観客が腰を下ろし、金井の姿が現れた。そして、そこから歌の輪が会場全体に広がっていった。あらたなアンセムの誕生。さすが妄想王子だ。最後の最後に大きな見せ場を作って、演奏を締めくくった。

SETLIST

01. 虹を食べたアイリス
02. アリギリス
03. “MISSION 481”
04. #DIV/0!
05. 週末思想
06. SweetDreams

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トリを任された意味を伝えたい
-asobius-

超大型新人と謳われているasobiusとは言え、いくらなんでもBIGMAMAがあれだけ感動的な光景を作った直後じゃやりづらいだろうな……と思いきや、そんな心配をよそに「トリの末っ子です」とひょうひょうと現れた5人組は、プレッシャーを感じていることなどこれっぽっちも思わせない堂々としたパフォーマンスを披露した。その佇まいはまさに天真爛漫。

指揮棒を振りながら歌い上げる甲斐一斗の歌の世界を、星空の彼方に広げていくような「made of my friends」のダイナミックな演奏にいきなり気持ちを鷲掴みにされた。その後、アフロ・ポップを思わせる軽快なリズムに胸が躍る「starlight」、轟音を鳴らす「antheme」と曲が進むにつれ、明らかにオルタナ以降の感性を閃かせながら、’11年結成という5人組がアピールする壮大な歌の数々に、どんどん引き込まれていった。

レーベルが大型新人と謳うのも頷ける。

「去年、RX-NIGHTをいちばん後ろで観ていました。今年はトリとしていちばん前にいます。トリを任された意味を伝えたい」と甲斐は語った。その熱い想いは、演奏からも十二分に伝わってきた。

アンコールの「discovery」を含む全7曲。幸福感で包み込むようなパフォーマンスを思えば、新人とは言え、彼らほどトリにふさわしいバンドはいなかったんじゃないか。とても気持ちのいいライブだった。

SETLIST

1. made of my friends
2. starlight
3. antheme
4. rise
5. I’m in the love
6. all the things so far
<ENCORE>
07. discovery

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計4時間に及ぶ長丁場のイベント。RX-RECORDSには、ライブ・バンドであることの矜持を持ったうえで、海外のミュージック・シーンに共鳴しながらも日本人の感性に合った表現ができるバンドが揃っていると改めて実感。ライブ・ミュージックに興味があるなら、このRX-NIGHTへ一度は……いや、毎年でも足を運んだほうがいい。

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