Eli Paperboy Reed × THE BAWDIES JAPAN TOUR 2013 LIVE REPORT –

Eli

昨春、自分たちのバンド原点でもある、ザ・ソニックスとのジャパン・ツアーを敢行したTHE BAWDIESが、今冬は同世代でリスペクトするアメリカのソウル・シンガー、イーライ・ペーパーボーイ・リードを迎えた2マン・ツアーを開催した。「ロックンロールとは思いのままに解放すること」──ROYがよく口にするこの言葉の真意は、両者が見せたこの日の白熱したパフォーマンスそのものだった。彼らが伝えたい、繋ぎたい想いが溢れたステージ。12月15日@新木場STUDIO COASTでの模様をレポートする。

TEXT BY 小野田雄 / PHOTOGRAPHY BY 橋本塁(SOUND SHOOTER)

 

ルーツ・ミュージックに根ざしたイーライの音楽性に共感

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2012年にバンド結成のきっかけとなった米国の伝説的ロックンロール・バンド、ザ・ソニックスを招聘し、奇跡の対バン・ツアーを実現させたTHE BAWDIES。そのときの経験は後にリリースされたアルバム『1-2-3』にロックンロールの衝動をもたらす結果となったが、2013年末、最新シングル「THE SEVEN SEAS」をリリースしたばかりの彼らは、今度はブルックリン在住の白人ソウル・ボーイ、イーライ・ペーパーボーイ・リードを招聘。東名阪の対バン・ツアーを行った。

ビヨンセからも一目置かれるイーライは、アメリカ南部のライブハウスやシカゴのゴスペル聖歌隊で音楽修行を行い、ミッティ・コリアー、ロスコー・ロビンソンやヴァーノン・ギャレットといったソウル界との偉人たちともセッションを重ねてきた強力なライブ・アクト。ROYは2008年のアルバム『Roll With You』をファンからプレゼントされ、その存在を知ってからというもの、ルーツ・ミュージックに根ざしたイーライの音楽性に共感すると同時に同世代のライバルとして来日を熱望していた。その共演がついに実現したのだ。しかし、イーライはどんなパフォーマンスを見せてくれるのか。そして、彼の音楽がまだまだ日本に浸透していない状況を踏まえて、THE BAWDIESのファンは彼の音楽にどう反応するのか? 未知数の対バンに期待とともに不安も募った。

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THE BAWDIESは相当な意気込みを持って、このライブに臨んでいるようだ

東京は新木場STUDIO COASTでのツアー初日。最初に登場したのは、ホスト役のTHE BAWDIESだ。「すさまじいソウル・シンガーに日本でこれだけロックンロールとソウル・ミュージックが愛されているんだということをみんなで伝えましょうか!」というROYのひと言とともに始まった1曲目は「YOU GOTTA DANCE」。冒頭からテンションは一気に上がるが、気合いが入りすぎているためか、そのプレイはいつも以上に荒々しい。TAXMANのギターに導かれ、続く「LONELY MAN」も演奏のタッチはラフでテンポもいつも以上に速い。彼らの演奏はROYの歌とベースに合わせてテンポが決まるので、イーライのライブを控えて、ROYの気持ちがアグレッシブなモードなのだろうか。そして、オーディエンスの挙げた両手が波打つシングル曲の「IT’S TOO LATE」から16ビートのリズムが濃厚なファンクを引き出す「YEAH」へ。ようやく、はやる気持ちを抑えて、いつものライブのペースを掴んできた頃だろうか。そう思うも、5曲目のミドルテンポ・チューン「LEMONADE」は、再びTAXMANのリズム・ギターからして激しく、いつも以上に走っている。どうやら、THE BAWDIESは相当な意気込みを持って、このライブに臨んでいるようだ。歌から、演奏から、その気持ちがはみ出しまくっている。

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そして、曲を終えたROYは「イーライはスゴいからね、マジで。さっき、リハを観たけど、ヤバいよ!」と語ると、続いて演奏したのはレイ・チャールズのカバー「MESS AROUND」。ピアノが弾ける軽快なリズム&ブルース・ナンバーを、彼らはギター・オリエンテッドなガレージ・ロック寄りのアレンジで披露する。そのまま、’60年代のガレージ・バンド、ミッチ・ライダー&デトロイト・ホイールズのヒットでお馴染みファイブ・デュー・トーンズの「SHAKE A TAIL FEATHER」をプレイ。この曲を聴きながら、この日の演奏に込められた彼らの意図をようやく理解した。つまり、ロックンロールよりソウル・ミュージックに軸足を置いたイーライとの対比で、彼らはザ・ソニックスというガレージ・バンドをきっかけにルーツ・ミュージックへ足を踏み入れたバンドの出自、ソウル・ミュージックよりロックンロールに軸足を置いたバンドであることをいつも以上にハードな演奏とともに伝えようとしていたのだ。

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ダンス・ナンバー「I’M IN LOVE WITH YOU」を終え、ROYは「みなさん、イーライのことを舐めてないとは思うけど……一回言っておくけど、絶対、舐めちゃダメだよ」と、次に控えるイーライのライブに対する期待感を煽り、そのまま、リリースされたばかりの新曲「THE SEVEN SEAS」へ。作品では包み込むようなあたたかさが印象的なこの曲は、テンポを上げた演奏でグルーヴがぐっと前に出て、オーディエンスも心地良く揺れる。そして、TAXMANがボーカルをとる「MY LITTLE JOE」から終盤へ突入。ライブ定番のシングル曲「ROCK ME BABY」と「HOT DOG」、毎回、フロアがもみくちゃになる性急のロックンロール・ナンバー「KEEP ON ROCKIN’」から畳みかけるような「A NEW DAY IS COMIN’」という怒濤の展開で、ロックンロール・バンド、THE BAWDIESは、ソウル・ボーイ、イーライ・ペーパーボーイ・リードにライブのバトンを渡した。

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異なる鉄壁のソウル・バンドとしての魅力を濃密に伝えていた

そして、セット・チェンジ後、イーライのバンド・メンバーが登場。ステージに立ったのは、ギターのジェシー・バーンズ、ベースのマイケル・イスヴァラ・モンゴメリー、ドラムのアッティス・クロプトン、キーボードのJ.B.フラット。そして、イーライと親交がある日本在住のホーン・セクション、トランペットのパトリック・ムーディーとサックスのマイク・ロバーツからなる6人。その光景を目にしただけでも、大所帯バンドを揃えたイーライの本気具合とフル・バンドの来日を実現させたTHE BAWDIESサイドの熱意が痛いくらいに伝わってくる。そして、そんな彼らを大歓声で迎える2,500人のオーディエンス。おそらく、その多くはイーライの音楽を聴いたことがなく、THE BAWDIESに導かれて新しい音楽に心を開いた人たちだ。そこにいきなり叩き付けられる16ビートのファンク・グルーヴ。キーボードのJ.B.の呼び込みに続いて、エンジのスーツに身を包んだイーライ・ペーパーボーイ・リードが登場した。

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ギターを手にしたイーライは第一声の驚くべき声量のシャウトからして、高音を利かせた伝統的な歌唱マナーに彼が育んできた揺るぎないソウルネスを感じさせ、ステージを右に左に動き回り、床を滑り転がって感情を爆発させるボーカル・パフォーマンスで会場をあっという間に支配した。それに加えて、演奏の素晴らしいこと! ベースとドラムが生み出す太くて力強いグルーヴのうねりとブルースに根ざしたエモーショナルなギター、そして、ピアノとオルガンを弾き分ける卓越した鍵盤さばき。さらにシャープな迫力を押し出すホーン・セクションが加わったバンド・アンサンブルはロックンロール・バンド、THE BAWDIESとは異なる鉄壁のソウル・バンドとしての魅力を濃密に伝えていた。

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演奏されたのは、ルーツに根ざした2008年の『Roll With You』とポップ感覚を増した2010年の『Come And Get It』という2枚のアルバムの収録曲をはじめ、来春リリースの新作に収録予定という「GROWN UP」と「SHOCK TO THE SYSTEM」の2曲。甘酸っぱいダンス・ナンバー「NAME CALLING」、「COME AND GET IT」からボーカルの魅力が最大限に発揮される「IT’S EASIER」、「TIME WILL TELL」といったバラード。そして、「NOT EVEN ONCE」や「EXPLOSION」といった濃厚なファンク・チューンまで、泥くさくあたたかいブルージーなサザン・ソウルのフィーリングとノーザン・ソウルの洗練されたポップ感覚やダンス・グルーヴを絶妙なさじ加減で混ぜ合わせ、イーライ初体験のオーディエンスをわしづかみにすると、1時間のパフォーマンスは嵐のように駆け抜けていった。

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ソウル・ミュージックへの愛情が国境を越えて両者を繋いだ

アンコールにはイーライのバンドとTHE BAWDIESの総勢11人がステージに集結。そこで演奏されたのは、レイ・チャールズの「WHAT’D I SAY」だ。ROYとイーライが向き合ったボーカルの掛け合い、全員で回したソロ・パートなどを見せた、ソウル・ミュージックへの愛情が国境を越えて両者を繋いだセッションとライブを締め括る「ワッショイ!」の三唱を通じて、会場はあたたかい空気に包まれた。
なお、このツアーではイーライが持参したアルバム数百枚がソールド・アウト。ツアー最終日、新代田FEVERで行われたイーライ単独公演のアンコールではTHE BAWDIESのメンバー全員が呼び込まれたが、このツアーで深まったバンド間の交流は言うに及ばず、会場に詰めかけたTHE BAWDIESファンがイーライの音楽、そして、ルーツ・ミュージックの魅力に引き込まれていく様は、つねづね、「ルーツ・ミュージックを日本に広めたい」と語っているTHE BAWDIESがその理想に一歩近づいたことを意味する。また、彼ら自身もイーライの音楽に触れたことで、今後のライブや作品制作に大きな影響が及ぶことも間違いないだろう。2012年のザ・ソニックスに続き、2013年もまたTHE BAWDIESは素晴らしい対バンによって、あらたな音楽世界を切り開いた。

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SETLIST

THE BAWDIES

M01. YOU GOTTA DANCE
M02. LONELY MAN
M03. IT’S TOO LATE
M04. YEAH
M05. LEMONADE
M06. MESS AROUND
M07. SHAKE A TAIL FEATHER
M08. I’M IN LOVE WITH YOU
M09. THE SEVEN SEAS
M10. MY LITTLE JOE
M11. ROCK ME BABY
M12. HOT DOG
M13. KEEP ON ROCKIN’
M14. A NEW DAY IS COMIN’

Eli “Paperboy” Reed

M01. THE SATISFIRE
M02. NAME CALLING
M03. WILL ALLRIGHT NOW
M04. GROWN UP
M05. IT’S EASIER
M06. STAKE YOUR CLAIM
M07. TAKE MY LOVE WITH YOU/YOU CAN RUN ON
M08. I’M GONNA GETCHA BACK
M09. TIME WILL TELL
M10. NOT EVEN ONCE
M11. SHOCK TO THE SYSTEM
M12. COME AND GET IT
M13. EXPLOSION

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PROFILE

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Eli “Paperboy” Reed

音楽評論家である父親の影響により幼少の頃から幅広いジャンルの音楽に慣れ親しむ。大学卒業後に自身のバンド“The True Loves(ザ・トゥルー・ラヴス)”を結成。2005年にアルバム『Sings “Walkin’ and Talkin’ (For My Baby)” and Other Smash Hits!』を自主リリース。2007年に“SXSW”出演で注目され、ボストンのレーベル“Q Division”から2ndアルバム『Roll With You』を発表。2009年、“FUJI ROCK FESTIVAL”で初来日。2010年に3rdアルバム『Come And Get It』でメジャー・デビュー。

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THE BAWDIES

ROY(vo、b)、TAXMAN(g、vo)、JIM(g、cho)、MARCY(ds、cho)。2004年1月1日に結成。2009年4月にアルバム『THIS IS MY STORY』でメジャー・デビュー。2013年1月にリリースした4thアルバム『1-2-3』を引っ提げ行われた、横浜アリーナ&大阪城ホール公演を含む全59公演&計7万人を動員した全国全県ツアー“1-2-3 TOUR 2013”のファイナル公演の模様を完全収録したライブDVD『1-2-3 TOUR 2013 FINAL at 大阪城ホール』を9月に発表。11月にはシングル「THE SEVEN SEAS」をリリース。

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