Eli Paperboy Reed × THE BAWDIES TALK SESSION –

Eli

THE BAWDIESがその音楽にシンパシーを感じて今回のジャパン・ツアーを実現させた、イーライ・ペーパーボーイ・リード。このツアーで初対面を果たした2組であったが、ルーツ・ミュージックへの愛、想い、めざす音楽……信念とも呼べる音楽に対するそれぞれの姿勢は、国境を越えすでにシンクロナイズしていたようだ──それは彼らのステージ・パフォーマンスが、オーディエンスの盛り上がりが、証明している。では、具体的にその共通項とはいったいなんなのか? フレンズでライバル同士のTHE BAWDIESとイーライ・ペーパーボーイ・リードの5人で改めて話してもらおう。

INTERVIEW & TEXT BY 小野田雄 / PHOTOGRAPHY BY 橋本塁(SOUND SHOOTER)

 

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“イーライがスゴすぎて、THE BAWDIESのライブの記憶があまりない”って

──まず、初めての顔合わせとなる今回のツアーはいかがでしたか?
Eli “Paperboy” Reed 言葉にならないくらい素晴らしかったよ。今回、THE BAWDIESがわざわざアメリカから僕たちを呼んでくれたことというのは、つまり、海外から好きなミュージシャンを呼んで、自分たちのファンに対して“この人の音楽は最高だから、好きになってください”と紹介するやり方だと理解しているんだけど、そうしたツアーはアメリカでもなかなかないことだし、僕の音楽を気にかけてくれたTHE BAWDIESの気持ちが本当にうれしい。

ROY そう言ってもらえて、僕たちこそうれしいですよ。今回、イーライとライブができたことは最高の経験だったんですけど、それ以上に、イーライのパフォーマンスを観たお客さんたちのうれしそうにしている顔が、僕らにとってはいちばんでしたね。ライブ後に、Twitterで“THE BAWDIESも良かったけど、イーライがスゴすぎて、THE BAWDIESのライブの記憶があまりない”っていうつぶやきを見かけて(笑)。僕らは“THE BAWDIESって、カッコいいだろ?”ということを伝えたくて音楽をやっているわけではなくて、ソウル・ミュージック、リズム&ブルース、ロックンロールといったすごい音楽がこの世にあるんだよってことを紹介したくてバンドをやっているので、そういう感想を持ってもらえたなら、今回のツアーは大成功だなって思いました。

“自分を通じて、いい音楽を紹介したい。その機会を作りたい”

Eli “Paperboy” Reed 取材なんかで“どうして音楽をやってるの?”って聞かれることが多いんだけど、僕もROYとまったく一緒なんだよね。つまり、“自分を通じて、いい音楽を紹介したい。その機会を作りたい”っていう気持ちがいちばん強い。だって、僕たちの音楽は脈々と受け継がれてきたルーツ・ミュージックに影響を受けてきたんだし、“ジミー・ルイスっていうソウル・シンガーが最高だから聴いてみて!”って感じで、自分たちが受け取ったものを誰かに伝えたくなるのは自然なことだよね。

ROY そもそも、僕らがイーライのことを知ったのは6年前で。ファンから「きっと好きだと思うので聴いてみてください」ってことでいただいたCD(『Roll With You』)がきっかけでしたからね。そして、同世代でこうやって本気でソウル・ミュージックを愛して、本気で音楽をやっている人がいることを知って、うれしく思うと同時に、やっている音楽があまりにカッコよくて悔しかったし、“いつか、この人と一緒にライブができるように自分たちも頑張らなきゃな”って思ったんですよね。

Eli “Paperboy” Reed はははは! それは僕も一緒だよ。THE BAWDIESのショーでオーディエンスが一体となって手を挙げてる瞬間を目の当たりにして、そのあと、自分たちがライブをやるうえで間違いなく刺激になったし、好きな音楽は共通していても、音楽のアプローチが異なるTHE BAWDIESから学ぶべきところは大いにあるよ。それにセッションの最後にみんなでシャウトしたのも楽しかったな……“ワッショイ!”だったっけ? あれはどういう意味なんだい?(笑)

──英語でぴったり当てはまる言葉はないんですけど、いちばん近いのは”Hooray”ですかね。
Eli “Paperboy” Reed (笑)なるほど。そういう意味なんだね。みんなでやる、ああいうシャウトもいいよね。

TAXMAN 僕らのライブは毎回あの“ワッショイ!”で締めるんですよ(笑)。

自分が受けた影響をもとに、いかに現代的な音楽をやるか。
その姿勢もまた、共通している

Eli “Paperboy” Reed オーケー(笑)。まぁ、あのシャウトも楽しかったし、THE BAWDIESがやってるロックンロール・ミュージック、リズム&ブルースから派生したあのサウンドが僕も大好きだしね。ともすると、ロックンロールというのは単純なものだと思われがちだけど、実は複雑で入り組んだところもあって、THE BAWDIESが生み出すドライヴ感は簡単にできるものじゃないし、THE BAWDIESが何より素晴らしいのは、短い曲の中できっちり盛り上げたうえで終わらせる凝縮した曲作りだね。今の若いバンドはどうしても曲作りが過剰になって、曲の尺が長くなりがちだけど、その演奏を聴けば、THE BAWDIESが誰に教わったわけでもなく、自分たちの試行錯誤によって曲を凝縮する術を身につけたことはよくわかるよ。

JIM もちろん、僕らとイーライとでは、やってる音楽に違いはあると思うんですよ。ただ、それは表面的な違いであって、カッコつけずに感情を爆発させて歌うイーライのライブを観たら、同じように感情を爆発させて歌って演奏する僕らと根本は一緒なんだなって思うんですよね。

Eli “Paperboy” Reed ステージや作品で自分をよく見せようっていう気持ちがあったとすると、聴く人にそれが伝わってしまうからね。だから、自分にできることというのは、自分であり続けて、ステージや作品に向き合うということ。そして、その自分の音楽というのは、過去に生まれたリズム&ブルースやソウル・ミュージック、ゴスペルやカントリーに影響を受けて形作られているわけなんだけど、昔っぽい音楽をやるつもりはまったくなくて。もちろん、自分のスタイルを築き上げるために、どこからか始めなきゃいけないし、その際には影響を受けた音楽が糧になるわけで、影響を受けること自体、悪いことではないけど、自分が受けた影響をもとに、いかに現代的な音楽をやるか。その姿勢もまた、僕とTHE BAWDIESの音楽には共通しているよね。

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僕は今の時代に感情が爆発する
音楽本来の魅力を伝えたいんです

ROY まったくそのとおりだと思います。現代は機材が発達したことで、音の厚みを出したり、音楽を伝えるうえでいくらでも補強できるのに対して、機材がまだまだ未発達だったリズム&ブルースやソウルが生まれた時代は、人間が本来持っている熱、爆発的に振り切れた感情を音楽に込めることで相手に伝えようとしてたと思うんです。そういう意味で、過去と現在でミュージシャンが置かれている状況は異なっているし、過去の音楽を現代に再現することはできないんですよね。ただ、振り切れた感情が損なわれている現代において、過去の音楽からそうしたものを学ぶことはできるし、僕は今の時代に感情が爆発する音楽本来の魅力を伝えたいんです。

Eli “Paperboy” Reed ROYが言ってる今の状況は、多かれ少なかれアメリカも一緒だよ。でも、いくら機材が発達しても、楽器が弾けなかったら、歌がうたえなかったら、そして、そこに感情の爆発がなかったら、例え、表面的に誤魔化すことはできても、聴く人が聴けば、わかってしまうよね。英語ではそれを”Can’t Fake The Funk”(「ファンクは誤魔化すことはできない」の意)って言うんだよ。

MARCY いいこと言うなぁ(笑)。

JIM 演奏は別にして、MARCYはホントにシャイ・ボーイだよね(笑)。

Eli “Paperboy” Reed でも、僕だって10代の頃は引っ込み思案でシャイな人間だったんだよ(笑)。でも、そういう自分に熱い気持ちを抱かせてくれたのが、例えば、’60年〜’70年代にかけて活躍したサザン・ソウルの代表的シンガー、O.V.ライトだったりしたんだ。ソウル・ミュージックの世界に入っていくきっかけとして、ポップで洗練されたノーザン・ソウルだったり、ヒップホップ経由で掘り下げていったり、いろんな道筋があるけど、僕の場合、最初はブルースだったんだよね。ブルースのどういう部分に惹かれたのかというと、ビートやグルーヴより先に感情に訴えかける力がしっくりきた。周りにはそういう音楽を聴いてる友達はいなかったけどね(笑)。

年を取れば体力が落ちるのは、同い年のみんなだったらわかるでしょ?

──その後、イーライは若くして、ルーツ・ミュージックの本場、アメリカ南部に移住したと聞いているんですが。
Eli “Paperboy” Reed そう。高校を卒業した僕は、大学で勉強する気が起きなくてアメリカ南部のミシシッピへ移り住んだんです。4人はジューク・ジョイントって知ってる? ジューク・ジョイントというのはアメリカ南部の伝統的な音楽酒場で、普段、一生懸命働いている人が週末に本気でライブ・ミュージックを楽しむべく飲みにくる場所なんだけど、1週間の疲れを癒やすために客が聴きたいのは、ホントにいい音楽だけなんだよね。そこで歌っている人もプロではなくて、僕の知り合いにも、普段は学校の送迎バスの運転手をしている人がいて。その人は床に転がりながら感情を爆発させて歌うO.V.ライトの「You’re Gonna Make Me Cry」が得意のレパートリーなんだけど、その歌がとにかく素晴らしくて、店ではスターのような存在なんだ。演者もオーディエンスも強く音楽を求める、そんなリアルな、むき出しな環境で歌うことができたのは本当にいい経験だったね。

TAXMAN そういう環境はうらやましい。

ROY うん。日本だと、酒は居酒屋、音楽はライブハウスという感じで、場所が分かれてしまっているし、仮にジューク・ジョイントのような場所があったとしても、18歳の僕らがそこに飛び込んでいけたかどうか。

Eli “Paperboy” Reed 僕のジューク・ジョイントでの最初のライブは、初めに知り合った人がギターを弾ける人を探していて、最初はギターを弾くだけという話で出かけて行ったんだよね。でも、行ってみたら、実際は、自分が知ってる曲は全部歌ったというくらい、夜の9時から夜中の3時までずっと歌わされたんだよ!(笑)

JIM (笑)。それはハードだな……。

Eli “Paperboy” Reed もう、ギターの弾きすぎで手はボロボロ、声はガラガラ(笑)。でも、そこをタフになって乗り切るか、それともダメになって家に帰るか……究極の状況に置かれたけど、その後、シカゴに移住して大学に通いながら教会で歌うようになったゴスペル・ミュージックの現場も同じような感じで。ゴスペル・シンガーというのは、オーディエンスがいい感じになったら、20分、30分と言わず、ずっと歌い続けてみんなをハッピーにしなきゃいけない、そういう役割だからね。その時期の経験も自分にとっては大きかったと思う。

ROY イーライのライブを観ると、体力がものすごいもんね。

Eli “Paperboy” Reed でも、それは若い頃の話だよ(笑)。年を取れば体力が落ちるのは、同い年のみんなだったらわかるでしょ?

TAXMAN 俺、次の日、腰が痛くなっちゃいますもん(笑)。

Eli “Paperboy” Reed 僕も一緒だよ(笑)。

ROY しかし、イーライは、音楽も素晴らしいし、体力もあるだけじゃなく(笑)、7インチ・シングルを1万枚、LPはそれ以上持っていると言うし、ミッティ・コリアーとかロスコー・ロビンソンのような、僕らがリスペクトする伝説のシンガーと数々のライブをやったり、その掘り下げ方や熱意がハンパないんですよ!

ソウル・ミュージックやロックンロールを日本でしっかり根付かせたい

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──イーライは来年春にニュー・アルバムのリリースを控えているということですが、音楽家としての夢は?
Eli “Paperboy” Reed 僕はポップ・スターになりたい。とはいえ、それは自己満足のためではなく、そうなることで、今まで以上にいろんなミュージシャン、大好きなミュージシャンと仕事ができるようになるだろうし、僕が影響を受けた音楽やカルチャーをみんなに広めることができるようになると思うから。だから、僕はポップ・スターをめざすよ。

ROY 僕らもまったく同じように思っていて。今までこうやって活動してきて、日本でお客さんを集めることができるようになってきたからこそ、ザ・ソニックスやイーライを呼べるようになったし、今後も大好きなアーティストを呼んで、日本の人たちにどんどん紹介することで、ソウル・ミュージックやロックンロールを日本でしっかり根付かせたいんですよ。ただ、自分たちの音楽に影響力がなければ浸透していかないので、そのために今後も切磋琢磨していかなきゃなって。そして、もうひとつ、“日本でもこれだけソウル・ミュージックやロックンロールが愛されているんだ”ということを世界中の人たちにも知らせたいので、この間やったアジア・ツアーしかり、アメリカやヨーロッパでもライブをやりたいと思ってます。

Eli “Paperboy” Reed 僕としても、このツアーから得たものは本当に素晴らしいものだったから、それをアメリカに持ち帰って、自分の活動に活かすつもりだよ。そして、また、こうして一緒にライブができたら最高だね!

PROFILE

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Eli “Paperboy” Reed

音楽評論家である父親の影響により幼少の頃から幅広いジャンルの音楽に慣れ親しむ。大学卒業後に自身のバンド“The True Loves(ザ・トゥルー・ラヴス)”を結成。2005年にアルバム『Sings “Walkin’ and Talkin’ (For My Baby)” and Other Smash Hits!』を自主リリース。2007年に“SXSW”出演で注目され、ボストンのレーベル“Q Division”から2ndアルバム『Roll With You』を発表。2009年、“FUJI ROCK FESTIVAL”で初来日。2010年に3rdアルバム『Come And Get It』でメジャー・デビュー。

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THE BAWDIES

ROY(vo、b)、TAXMAN(g、vo)、JIM(g、cho)、MARCY(ds、cho)。2004年1月1日に結成。2009年4月にアルバム『THIS IS MY STORY』でメジャー・デビュー。2013年1月にリリースした4thアルバム『1-2-3』を引っ提げ行われた、横浜アリーナ&大阪城ホール公演を含む全59公演&計7万人を動員した全国全県ツアー“1-2-3 TOUR 2013”のファイナル公演の模様を完全収録したライブDVD『1-2-3 TOUR 2013 FINAL at 大阪城ホール』を9月に発表。11月にはシングル「THE SEVEN SEAS」をリリース。

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