HOWL BE QUIET ALBUM「DECEMBER」ディスクレビュー

DECEMBER

ALBUM

HOWL BE QUIET

DECEMBER

2013.12.11 release

<CD>


磁石のように引き寄せられる心が見える

全員が22歳の4人組、HOWL BE QUIETの1stアルバム。ピアノ・ロック・バンドとも言われるが、ギターもベースもドラムも歌いながら、歌が描く物語と共にハーモニーを奏でている印象である。その物語の中には、ほぼすべてに僕と君がいる。“嫌われることのないように/陰口を叩かれないように/君に見合う大人になろうとしてたんだ”と歌い出す「GOOD BYE」からアルバムはスタートするが、やるせなさまでひっくるめた裸の自分自身と向き合うために“君”という存在が必要だったのだろう。切ないメロディ、性急なビート、繊細にダイナミズムを紡ぐサウンド……はっきり言って、明るくはない。そして、決して真新しい音楽性を提示していたり、イマドキなスペックを盛り込んでいるわけでもない。しかし、こういったバンドは、どんな時代でも求められるのだ。そして重要なのは、彼らはそういったところを狙っているわけではなく、自らが歌いたい言葉、鳴らしたい音に素直に対峙しているだけに聴こえてくるところである。こういった音楽は、狙いが透けて見えた途端に濁ってしまう。彼らはそれを知ってか知らずか、苦悩の青春真っ只中にいる人たち、さらにいくつになってもそこから抜けられない人たちの琴線がぶるぶると震える、蒼い音楽を見事に今作に封じ込めている。

さらに彼らは、狭いシーンで愛されるに留まらない可能性を秘めていると思う。歌の力があり、アンサンブルが豊かで、ポップスを生み出せる才能を感じるから。それでも彼らは、綺麗にまとめることではなく、魂を込めることを選択してしまうのだろう。例えば「Merry」は、鈴の音も聴こえる美しい曲だけれど、蓋を開けると、こんなに女々しいクリスマス・ソングはかつてないと思えるほどの歌詞なのである。でも、そこがいいのだ。恐れを知らぬまっすぐさで、多くの彷徨える心を救ってほしい。

(高橋美穂)

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