WHITE ASH ALBUM「Ciao, Fake Kings」ディスクレビュー

Ciao, Fake Kings

ALBUM

WHITE ASH

Ciao, Fake Kings

バップ

2013.12.11 release

 

王位奪取に挑むトリックスター

例えばボーカリストが“のび太”という人を食ったような名前だったり、なぜか外国人が居並んでいるアーティスト写真だったりと、ロックの王道を射抜くようなサウンドとは裏腹に、どこかトリックスター的な存在だったWHITE ASH。だが、ついに、ヤツらが真っ向から勝負に出た! 何しろ、このメジャー移籍後初のフル・アルバムは『Ciao,Fake Kings』、要するに“ニセモノの王様よ、さらば”というなんとも挑発的にして不敵なタイトルを掲げ、内容も──「Velocity」「Crowds」と好シングルを連発していたにも関わらず──全11曲すべてが新曲という野心的な仕上がりに。アー写もついに本人たちを捉えたものとなり(のび太は後ろ姿だけれど……)、メジャー・シーンを真正面から突破せんとする意気込みをひしひしと感じさせてやまない出来栄えなのだ。

G1レース「ジャパンカップ」のタイアップ・ソングとしても話題となったオープニング曲「Casablanca」をはじめ、初期アークティック(Arctic Monkeys)を彷彿とさせるリフ・メイクやアンサンブルはよりエッジを増し、率直に言ってめちゃめちゃカッコいい。多士済々の新世代ロック・バンドの中でも、音そのもののダイナミズムや快楽性は際立っていると思う。とりわけ目を引くのは、エレファントカシマシやSuperflyを手がける蔦谷好位置をプロデューサーに起用して制作されたM2「Number Ninety Nine」とM11「Xmas Present For My Sweetheart」だろう。特に後者は初めて全編日本語詞で綴られた、“ど”ストレートなクリスマス・ソングにしてラブ・ソング。これまでのWHITE ASHでは考えられなかったようなアプローチだし、ギター・フレーズはメジャー・シーンの大先輩・ヤマタツ(山下達郎)氏からの影響バリバリ……でも、これが、めっぽう良いのである。パロディでもなんでもなく、見事にWHITE ASHとしてのクリスマス・ソングに仕上げられていて、純愛を歌うボーカリゼーションも堂々たるもの。そう、ここにいるのは最早トリックスターの影はなき、破格の表現力を持った本格派ロック・バンド、WHITE ASHの姿だ。数多の“Fake Kings”を蹴散らして、来年はさらなる快進撃を見せてくれるに違いない。

(奥村明裕)

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