赤い公園 – 11月23日に東京・キネマ倶楽部で行なわれた“赤い公園ワンマンツアー2013「いざ、公園デビュー~トトトツーツーツートトト~」”のファイナル公演をレポート!

赤い公園

TEXT BY 今井智子/PHOTOGRAPHY BY 福本和洋

 

楽しげな笑顔を交わしながらアグレッシブな演奏と表情豊かな歌の対比

初フル・アルバム『公園デビュー』のリリース・ツアー・ファイナルを、東京・鴬谷のキネマ倶楽部で迎えた赤い公園は、一体感の増した演奏に豊かな表情を加え、満杯のオーディエンスと共に熱気溢れる一夜を過ごした。

この夜は幕開けから趣向を凝らし、まずはステージにひとり走り込んだ歌川菜穂(ds、cho)がドラムを叩き出すとミニ・ドレスの津野米咲(g、cho)、藤本ひかり(b)も現われ、楽器を手にすると活動再開の第1歩となったシングル「今更」のワクワクするイントロに。そこにゆったりしたパンツ姿の佐藤千明(vo)が加わり、ツアー最終日の意気込みを「最後だよ!キネマ!」と告げてオーディエンスを煽ったかと思うと、シレッとジャジーな歌を歌い出す。そして楽しげな笑顔を交わしながらアグレッシブな演奏と表情豊かな歌の対比で引き込む「のぞき穴」から「娘」、スケール感のある展開になった「世紀末」と畳み掛けるように演奏したテンションの高さは驚くほど。この夜の彼女たちが楽曲を立体的に表現する場としてステージに立っている事を感じさせた。津野の書く一筋縄ではいかない曲を、今まで以上に互いに理解し踏み込んで演奏している。飛び跳ねながらギターを弾く津野はもちろん、素足で踊る藤本や笑顔の歌川、余裕の流し目で歌う佐藤から、そんな手応えが感じられたのだ。

131130_live_akai2

それを確かなものに思わせたのは、圧倒されたように彼女たちを見つめるオーディエンスを前に、佐藤がシンセを弾いたインスト・ナンバー「ずっと」から幻想的な「透明」、さらに緊張感のある演奏になった「副流煙」。彼女たちは以前よりさらに深く曲と向き合い共有しライブを楽しんでいる。だからこそ中盤で佐藤と津野のふたりだけで聴かせた「つぶ」「体温計」、音源化していない曲「MAT BLUE」も4人での演奏と繋がって、ステージを引き締める句読点として生きていた。ここでは伸び伸びとピアノを弾いた津野の穏やかな表情が印象的だった。基本的にピアノで作った曲をギターに置き換えて行くと言う津野の、いわば素顔を見た思いと言えばいいだろうか。また、オーディエンスが持っているものを借りて物販の説明をしたり、持ち前のざっくばらんな調子でのMCを挟みながら、曲が始まれば瞬時に集中してシリアスな歌の世界を描き出す佐藤のボーカルも見事で、津野の書く曲が持つ切なくも豊かな表情をしっかりと伝えてきた。アルバム・インタビューのときに、「つぶ」のようにピアノと歌だけの曲はバンドの曲として成立するのかという意地悪な問いに、バンドのために書いた曲だから、と津野は応えた。その言葉がこのステージで証明されていた。ほかの曲と同様に、赤い公園というバンドが持つ色とエネルギーを持ってこの曲は歌われている。それを堂々と見せた津野たちに心からの拍手を送った。

131130_live_akai1

男子!女子!キネマ!

そんな思いに浸ったのもつかの間、リズム隊がステージに戻り津野がギターを持って緊張感のあるイントロを弾いて始まった「塊」から一段とすごみを増しスリリングな空気を孕んだ「もんだな」に突入し、曲の途中で佐藤が殻を破るように「後半戦、行きますよー!」と叫び、「男子!女子!キネマ!」とオーディエンスと応酬すれば演奏も熱気が急上昇。フロアに飛び込みそうな前傾姿勢で歌う佐藤に負けじと、津野と藤本も前に進み出て、オーディエンスとともにカオスな空気を作り出す。「急げ」から「はてな」へ、まさに急速で坂を駆け上るようにテンションを上げると、「カウンター」での「やりたいヤツだけアレやれよ!」との佐藤の掛け声にフロアは、津野が差し出すマイクに向かって手拍子しながら一段とカオスな状態に。

131202_livereport_akaikoen0

一息入れる間もなく「東京で初披露の曲やります」と佐藤が言い津野のピアノから始まったのは「贅沢」。アルバム『公園デビュー』と同じ曲順だが、そこにこだわったというよりはライブ終盤を一気に駆け抜けるかと思っていたらフワッと流れを変える展開が彼女たちらしく、この曲が一段と強く印象づけられた。続いて大きなうねりを持った「ランドリー」は4人の背後から照明が当たるドラマチックな演出に曲が映え、佐藤がトライアングルを鳴らしほかの3人のコーラスで始まった「くい」は曲が進むにつれステージがカオスに。藤本が一段高い所にあるサブ・ステージに駆け上がってベースを弾いたり、ドラム・セットの前に3人が重なってEXILE風のパフォーマンスを見せたりとサービス満点の展開にフロアが沸いた。

131130_live_akai4

確実に前進していることを感じさせた赤い公園

最後は「これからも赤い公園をよろしくお願いします」と佐藤が殊勝な挨拶をして頭を下げ、「音源化する予定のない曲」と「ふやける」。ステージ狭しと暴れ回りダイナミックに広がる音でキネマ倶楽部の高い天井まで満たし、フロアを宇宙的なスケールで包み込んだ4人はノイズを残してステージから姿を消した。そして揃いの白のジャケットとパンツに着替えたアンコールは「交信」。メビウス型のリボンが降り注ぐなか、“ト・ト・ト・ツー・ツーツー・ト・ト・ト”のコーラスが場内に響き、ツアー・ファイナルは幕を閉じた。

131130_live_akai3

3月に半年ぶりの活動再開を発表し、8月にアルバム『公園デビュー』をリリース、そしてこの夜ようやくツアーを終えた彼女たちが満ち足りた笑顔でステージを去ると、来年2月に新シングルのリリース、3月にはLIQUIDLOOMでのイベントが決定したとアナウンスされた。確実に前進していることを感じさせた赤い公園は、来年はさらに大きく進んでいくに違いない。

SETLIST

01. 今更
02. のぞき穴
03. 娘
04. 世紀末
05. ナンバーシックス
06. よなよな
07. ずっと(inst)
08. 透明
09. 副流煙
10. つぶ
11. 体温計
12. MAT BLUE
13. 塊
14. もんだな
15. 急げ
16. はてな
17. カウンター
18. 贅沢
19. ランドリー
20. くい
21. ふやける
【ENCORE】
22. 交信

PROFILE

アカイコウエン/佐藤千明(vo、key)、津野米咲(g、cho)、藤本ひかり(b)、歌川菜穂(ds)。高校の軽音部の先輩後輩により’10年に結成されたバンド。2012年2月と5月のミニ盤『透明なのか黒なのか』『ランドリーで漂白を』でメジャー・デビューを果たす。約半年の活動休止期間を経て2013年7月3日に復帰第一弾作となるシングル「今更/交信/さよならは言わない」をリリースし、同年8月に1stフル・アルバム『公園デビュー』を発表。なお、津野はSMAP「Joy!!」の作詞・作曲や南波志帆「ばらばらバトル」の作詞・編曲を手がけるなど、活動の幅を広げている。

LIVE INFORMATION

【イベント】
COUNTDOWN JAPAN 13/14
2013年12月28日(土)・29日(日)・30日(月)・31日(火)幕張メッセ国際展示場1〜8ホール、イベントホール
※赤い公園の出演は12月30日(月)

DUM-DUM presents「Telepathy/ Overdrive 」
2014年1月10日(金)恵比寿LIQUIDROOM
出演:赤い公園/きのこ帝国/tricot

GO LIVE VOL.1
2014年01月24日(金)EX THEATER ROPPONGI
出演:赤い公園/SCANDAL/ねごと

MUSIC CUBE 14
2014年3月22日(土)・23(日)場所未定

赤い公園自主企画イベント
2014年3月27日(木)恵比寿LIQUIDROOM

VIVA LA ROCK
2014年5月3日(土)・4日(日)・5日(月・祝)さいたまスーパーアリーナ

関連リンク

赤い公園OFFICIAL WEBSITE
Twitter(公式)
Twitter(津野米咲)
Twitter(藤本ひかり)
Twitter(歌川菜穂)
Ameba Blog(佐藤千明)
Facebook
YouTube
ニコニコ動画

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

M-ON! MUSICの最新情報をお届けします。

この記事に関するキーワード

この記事を書いた人