fox capture plan ALBUM「BRIDGE」ディスクレビュー

BRIDGE

ALBUM

fox capture plan

BRIDGE

Playwright

2013.12.04 release


ジャズとロックの狭間で炸裂する叙情と激情

5月に1stフル・アルバム『trinity』をリリース、タワーレコードやヴィレッジヴァンガードなどで大プッシュされ注目を集めているジャズロックトリオ、fox capture planのニュー・アルバム『BRIDGE』が早くも登場。それぞれ別のバンドでも活動している岸本亮(ピアノ)、カワイヒデヒロ(ベース)、井上司(ドラムス)による、ひたすら美しいメロディと激情的な変則リズムが注目を集める超絶スーパーインストバンドだ。
細やかなパッセージを流麗に弾きこなす岸本が奏でるピアノの詩的な旋律。コンポーザーとしても活躍するカワイによる歌心とアイディア溢れる豊かなベースライン。“お洒落ジャズ”とは一線を画すパワフルでキレまくりの井上の高速ドラム。3人の個性がぶつかり合い、溶け合って、彼らでしか出せないジャンルを超えた濃密な音を紬ぎ出している。

アルバムは、いきなり変拍子の「Attack on fox」で嵐のように幕が開く。どこまでも上り詰めていくかのような高揚感が素晴らしいリード・トラック「RISING」で最初のクライマックスを迎えたあと、3つのインタールードを挟みながら(といってもそれぞれ2分前後あるのだが)、2ndアルバムにしてすでに飛躍的に進化したさまざまな顔を見せつける。アーシーな手触りの「Far out」、深海を漂うかのような不思議な音像の「閉ざされた青い空間」、アルバムの中では一番ジャズっぽいアプローチの「3rd Down」、綺麗なメロディ・ラインから一転、情熱的に展開していく「Pictures」は静と動のコントラストが見事だ。そして最後は恒例のカバー曲。これまでもビョークの「Hyperballad」やオアシスの「wonderwall」など、選曲のセンスの良さが光る彼らが選んだのはMassive Attackの「Teardrop」。原曲の退廃的な世界観を残しつつも、あえてエレクトリックな処理を施さず、生楽器のトリオらしいアレンジで、クールでありながらドラマチックな演奏を聴かせてくれる。アルバムを聴き終えたあとも、いつまでもこの曲は頭から離れない。

彼らの真骨頂は実はライブにこそある。複雑なリズムとメロディで組み立てられた様式美と、それを打ち破っていく即興性。叙情と激情。それはジャズでもあり、ロックでもある。3人それぞれが枠をはみ出さんばかりの激しくスリリングなインタープレイを繰り広げながら、トライアングルは微動だにしない。確信に満ちた音はひたすら美しい。

彼らの音楽はジャズファンだけでなく、むしろロックファンにこそお勧めしたい。心が躍り、魂が震える。そんな体験が待っているはずだ。

(岡村尚正)

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