tacica SINGLE「HALO」ディスクレビュー

HALO

SINGLE

tacica

HALO

SMEレコーズ

2013.11.27 release

期間生産限定盤
通常盤/写真
※カップリング収録曲が異なります。


刻まれた“今”に感じる、着実な成長と誠実な姿勢

7月に、2年3ヵ月ぶりのアルバム『HOMELAND 11 blues』をリリースし、精力的な動きを見せているtacicaから、早くもニュー・シングル「HALO」が届いた。この熱さ、力強さは、アニメ「宇宙兄弟」のオープニングテーマだからというだけでは、ないだろう。楽曲自体は、華美な装飾や奇抜な展開はなく、実にシンプルで骨太なバンド・アンサンブルが生かされているが、だからこそ、今の彼らの底力が感じられる。そこで際立っているのは、詩人として独自の世界観を持っている猪狩翔一の歌詞。「光に似た希望は 君の細胞に絡まっているから 一生 放さない それだけ」──ロマンチックな表現でありながら、頑なな意思がたしかに伝わってくる。カップリングの「キャスパー」は、甘く柔らかなメロディに、ストリングスやホーンが絡んでいく、映画のように目の前に鮮やかな物語を描いていく仕上がり。つまり、彼らは3ピースで鳴らせる音だけにこだわっているわけではないし、豊かな発想力や、それを具現化する音楽的な力も持っているのである。それでも「HALO」は、様々なものを削ぎ落す必要があった。

今作の通常盤には、彼らにとって初めてのライブ音源として、5月25日に行われた“Tokyo Metropolitan Rock Festival 2013”の模様から、3曲収録されている。そのうちの1曲は、彼らが音楽シーンに飛び出したキッカケであり、代表曲にもなっている「黄色いカラス」だ。この猪狩の歌声が、彼らの進化を感じさせてくれる。時に上擦るように力んだ中から、零れ落ちる想いと歴史。元々、ソング・ライティングのセンスには盤石なものがあるが、そこに人間としての成長が加わり、歌や演奏の迫力を増した。そんな今の彼らの魅力が、この「HALO」には赤裸々に詰まっているのだ。歌詞にも、「生まれたままの純粋な体で 一生は終われない」や、「大人になった心の裏側」といった、葛藤のようなキーワードが散りばめられている。つねに嘘のない姿を見せてきた彼らだけれど、改めて信頼感が沸いてくるし、これからが楽しみになるナンバーだ。

(高橋美穂)

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