AA= ALBUM「#」ディスクレビュー

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ALBUM

AA=

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ビクターエンタテインメント

2013.11.27 release

 

音楽性両極を分けた2枚。エレクトロニック・サウンド『#』

AA=にとって4枚目となるアルバムは、2作連続リリースによるスプリット・アルバム。つまり、今作『#』と12月にリリースされる次回作『4』を合体させてひとつの作品『#4』が構成されるというわけだ。上田剛士の持つ両極の要素である、凶暴で攻撃的なエレクトロニック・サウンド、そしてメロディを中心にしたバンド・サウンドをそれぞれ個別に作り上げることで、より明確に彼の進もうとしている方向が見えてくる。今回は『#』を聴いてみた。

鋭角的なサウンドを主体に作っていることもあり、スピーディなメロディに乗せて歯切れのいい言葉が次々と飛び込んでくる。攻撃的とはいえ、感情に任せて音や言葉をぶつけるのではなく、コントロールの効いた疾走感と呼びたいバランス感覚が感じられるのも特徴だ。ピアノで幕を開ける「DRONE」は自問自答を繰り返す歌詞が印象的だが、ハードに炸裂するパートを間に挟みながら進む、強烈なインパクトを残す導入部。反復するエレクトロ・ビートで作られた硬質な「WARWARWAR-#Mix-」はこのアルバムのカラーが最もダイレクトに感じられるナンバー。

「VICIOUSNESS」はタイトルそのままに悪意を取り上げた曲だが、メロディは流れるようにキャッチーに作られている。同様にくっきりとしたメロディ・ラインで作られた「WILL」は、曲調は違えど目まぐるしく表情を変えながらもテンションを落とさない強さを持ったナンバー。ここで明るい曲調が登場することで、広がりが生まれる。しかし、息が詰まるような圧迫感を持った「DISTRAP」が登場し、空気はまた一変する。「PRG」でさらにヘビーさを増したエレクトロ・ビートが直撃。ラストの「KILROY WAS HERE」ではダブ・ステップ的な要素も盛り込み、この上なく刺激的な展開を見せて終わる。

両極を2枚のアルバムに分けてはいるが、今回の1枚だけでも様々な側面や要素が見て取れるのも実感できる。それだけに、次回の『4』にも期待が高まる。ちなみにパッケージも“合体待ち”仕様。作品としてもパッケージ面でも合体することで完結する、前代未聞のオリジナル・スプリット・アルバムだ。

(岡本明)

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