POLYSICS MINI ALBUM「MEGA OVER DRIVE」ディスクレビュー

MEGA OVER DRIVE

MINI ALBUM

POLYSICS

MEGA OVER DRIVE

キューンミュージック

2013.10.09 release

初回生産限定盤 <「MEGA飛び出す3Dジャケット」仕様>
通常盤


ロウなバンド・サウンドとハイファなシンセの一体が促す覚醒

 2000年代のニューウェーブ・リバイバル前夜から活動を開始し、その後のブームに左右されることもなく、幾度かのメンバー・チェンジに揺さぶられることもなく、バンドとしての個性を徹底的に叩き上げてきたPOLYSICS。2012年の15周年記念アルバム『15th P』に前後してリリースした2枚のアルバム『Oh! No! It’s Heavy Polysicks!!!』と『Weeeeeeeeee!!!』で現在の3人体勢によるサウンドを再構築し直した彼らがあらたな一歩を踏み出した。

 そこでの課題は、EDMのようなダンス・ミュージックや新世代のエレクトロニック・ミュージックを通じて、再評価の熱が高まっているシンセサイザーと生楽器のあらたな関係性の模索。そのために彼らが白羽の矢を立てたのは、ROVO、DUB SQUADの一員にして、スーパーカーや砂原良徳などの作品を手がけてきたエンジニアの益子樹だった。POLYSICSも多大な影響を受けた1980年代の音楽をルーツに、1990年代以降、プレイヤーとしてもバンドにおけるシンセサイザーのあらたな可能性を提示してきた益子氏の起用はその人選に思わず納得すると同時に、その体勢から生まれる音を想像しただけでも相当にスリリングなものがあるのではないかと思う。

 そして、ここに完成したミニ・アルバム『MEGA OVER DRIVE』は聴き手のスリリングな期待感のさらにその上をいく、そんな作品になっている。冒頭のタイトル曲からして、ドラムンベースを思わせる高速なドラミングとうねるベースを土台に、ギター・レスで四方八方に飛びまくるシンセサイザーやアシッド・シーケンスは解像度が高く、その覚醒感は圧倒的。続く2曲目の「Exclamation!」もまくし立てるようなボーカルと印象的なギター・リフに誘われて高まっていくバンド・サウンドとシンセ、ヴォコーダーの一体感も斬新にして新鮮で、この2曲はあらたな音楽世界を切り開こうというPOLYSICSの姿勢を如実に反映している。 
 
 さらにイントロのアシッド・シーケンスから一転して、ダイナミックなリフで一気に上り詰めていくギター・バンドとしてのPOLYSICSが全開の「Marshmallow Head」から現行体制による代表曲のセルフ・カバーである4曲目の「I My Me Mine 2013」と5曲目の「Baby BIAS 2013」へ。この2曲では原曲の持つニューウェーブ・バンドらしいねじれたポップ感をそのままに、その意匠を今日的にアップデートするバンド内の余裕やライブに対する配慮も感じられ、音を通じてバンドの好調ぶりがひしひしと伝わってくるかのようだ。9月のヨーロッパ・ツアーを終え、対バン・ツアーを目前に控えた彼らには、今年後半の流れのまま、さらなる新作を切に期待したい。

(小野田雄)

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