初音ミク ALBUM「MikXperience e.p.」ディスクレビュー

MikXperience e.p.

ALBUM

初音ミク

MikXperience e.p.

Sony Music Records

2013.08.28 release

完全生産限定盤


初音ミクとスマフォが連動したコンセプトCD

 初音ミクとコラボレーションしたスマートフォン「XperiaTM feat.HATSUNE MIKU」。本作はこのスマートフォンとクリエイティブ連動したコンセプトCDだ。参加アーティストはlivetune、tilt-six、きくお、ピノキオP、円盤P、Lemn。いずれもボーカロイド・シーンを代表するプロデューサー/クリエイターばかりで、初音ミク(メロディと歌詞を入力することで、ボーカル楽曲を制作できるソフトウェア)の魅力をたっぷりと体感できる作品に仕上がっている。

 初音ミクに象徴されるボカロの最大の功績は、数多くの新世代クリエイターを登場させたこと。人間のボーカリストがいなくても(見つからなくても)、自分で歌詞とメロディを打ち込めば“歌モノ”の作品を作ることができるボカロは、世界中のアマチュア・クリエイターの制作意欲を刺激し、その結果、膨大な数のボカロ曲が世に送り出された。その発表の場は、ニコニコ動画をはじめとする動画サイト。ネット上で、まったく新しいタイプのポップ・ミュージックを自由に楽しむことができる──10代、20代の若い層を中心に“ボカロ・シーン”が強く支持されたのは、当然の流れと言えるだろう。

 ダンス・ミュージックとの相性が良く、どんなに複雑なメロディも歌いこなせる(当然、ブレスも必要ない)初音ミクを使用した楽曲の魅力は、本作にもダイレクトに反映されている。最新鋭のエレクトロ・サウンドと起伏に富んだメロディ・ラインがひとつになった「overwriter」(tilt-six)、“2013年から2001年の“きみ”へ電話をかける”というコンセプトで制作された「テクノロジーに夢乗せて」(きくお)、エッジの効いたロック・ダウン・サウンドとダークな手触りの世界観を持った「ひとりぼっちのユーエフオー」(ピノキオP)、心地よい切なさと弾けるようなポップ感を共存させたメロディが印象的な「Packaged(Shipping in 2013 remix)」(livetune)。既存のポップ・ソングの概念を気持ちよく超越したボカロ曲──それは日本の音楽シーンにおける革命と言っても過言ではない──はここから、さらに幅広い層に認知されていくことになるはずだ。

(森朋之)

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