IVORY7CHORD MINI ALBUM「Synesthesia」ディスクレビュー

Synesthesia

MINI ALBUM

IVORY7CHORD

Synesthesia

magnifique/Being

2013.08.28 release


硬質な輝きを持つ音としなやかに泳ぐボーカルの駆け引き

 元WRONG SCALEの大西俊也(vo、g、programming)を中心に、吉田昇吾(UNCHAIN)をはじめ、ロック・シーンで影響力のあるメンバーで構成されたIVORY7 CHORD。今回のミニ・アルバムのタイトルは“共感覚”を意味し、“ある刺激に対して通常の感覚だけでなく異なる種類の感覚をも生じさせる知覚現象”を指す。

 細部まで作り込まれたトラック、スリリングなギター・サウンド、そして突き抜けていくボーカルが強靭なエネルギーを放ち、どの曲も始まった瞬間から耳を捉えて離さない。収録された8曲は、英語詞、日本語詞、あるいはインストと多彩だが、音と音、あるいは音と言葉が響き合う空間を徹底して考え抜いて仕上げているのが伝わってくる。硬質な輝きを持つ音で構成されながら、しなやかにその音の間を泳ぎ回るボーカルが想像力をかき立てる。その、硬さとしなやかさの駆け引きが絶妙だからこそ、どの曲も最後まで聴き逃せない魅力に満ち溢れている。

 繊細なメロディにアグレッシブなサウンドという要素を盛り込んだ「Paradox」では、詰め込まれた音数の多さをものともせず、次々と場面を変化させるハイ・レベルのボーカルがその実力を見せつけてくれる。また、鍵盤やストリングスの高まりとともに憂いを秘めたメロディを聴かせる「Holography」、変拍子で奏でられるグルーヴに美しいコーラスが重なる「PARADE」など、様々な試みを施しながらもその完成度は高い。そして、流れる滝のような音の洪水で幕を開け、パワフルな音塊が押し寄せてくる「ONE」がもたらす壮大なスケール感は今作の最大の山場と言っていい。とてつもなくまぶしい光を目の当たりにするような高揚感に包まれる楽曲だ。切迫感のある「YesNo」、独白調の「KIOQ」のように、心の内をさらけ出した日本語詞から生身の想いが立ち上がるのも印象的だが、その歌詞とリンクするサウンドが描く情景もていねいに作り込まれている。

 ところで“共感覚”とは、五感とは別の主観的な知覚現象のことで、絶対音感を持つ人には音に色を感じる知覚がある割合が多いと言われている。このタイトルと楽曲たちをヒントに、まだ解き明かされない音楽(と人間)の底知れない深さに思いを馳せれば、さらに面白さが増しそうだ。

(岡本明)

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