Galileo Galilei ALBUM「ALARMS」ディスクレビュー

ALARMS

ALBUM

Galileo Galilei

ALARMS

SMEレコーズ

2013.10.09 release

初回生産限定盤 <CD+DVD>
通常盤 <CD>


おめでとう、よくぞここまできた

 そうか、1stフル・アルバム『パレード』からまだ3年も経っていないのか。この2年強のあいだにGalileo Galileiの制作環境、編成、音楽性は大きく変わった。そもそもつねに未完成であることを望んでいる節があるバンドだ。いつだってドラスティックな変化を求めてきたし、コンスタントにリリースを重ねながらその都度バンドの音楽的力学を更新してきた。過去は決して振り返らず、未来を見つめることこそがGalileo Galileinのバンドマンシップにおける正義だった。

 東京から札幌に拠点を移し、自宅に併設した“わんわんスタジオ”で5人(当時)のメンバーが“衣食住音楽”をともにしながら、自分たちが美しいと思う音と物語と哲学だけを盤に刻みつけた2ndフル・アルバム『PORTAL』。海外のインディー・ロックに対する彼らの憧憬は、急進的な方法論の変化と既存のシステムにとらわれないバンド活動のあり方を推し進めた。

 それから岩井郁人(g)と野口一雅(key)の脱退を経て、結果的にオリジナル・メンバーの3ピース体制となり、サウンド・プロダクションの軸をシンセからバンドに戻し始めた『Baby, It’s Cold Outside』。このバンド・サウンドへの回帰こそが、本作『ALARMS』に繋がるポイントになっているのだが、『Baby〜』のツアーは生ドラムを排し、多数のシンセサイザーやサンプラー、ミキサーなどに取り囲まれたステージ・セットで臨んだ。それはバンドの豊かなクリエイティビィティを可視化するような、とても興味深いライブだった。しかし、ステージ上から放たれるエレクトリック成分の強いサウンドに対するオーディエンスの反応は鈍かった。

 メンバーは落ち込んだ。これまで自分たちが絶え間なく研磨してきた音楽はなんだったのかと、煩悶した。そんな鬱屈した時期を経て、バンドは研究に研究を重ねるような制作方法から離れることにした。とにかくまずはシンプルに3人のセッションを楽しもうというマインドで、結果的に『ALARMS』の要となる新曲作りに着手した。そこで大きかったのは、尾崎雄貴の歌が能動的に楽曲の主役になったことだ。そこから本格的にアルバムの完成を見据えてPOP ETCのクリストファー・チュウを共同プロデューサーに迎えた。この人選もジャストだった。USインディーロック・シーンの重要人物である彼と対等に向き合えたことで、自分たちがこれまで培ってきた方法論や審美眼は間違っていなかったという確信を持てたからだ。クリストファーの前身バンド、The Morning Bendersとリンクする本作の音像は、ローファイでリバーブ感に富んでいて、ウォール・オブ・サウンドなど繊細な意匠が随所に施されてはいるが、内向的な聴感をまったく与えない。作品全体に通底しているのは、柔らかな感触を残したまま開かれ、輝き、躍動するフレッシュなポップネスだ。それは雄貴のリリックもまた然り。このフレッシュなポップネスこそ、彼らの原点と進化が有機的に結ばれた祝福すべき結晶である。よくぞここまできたと思う。おめでとう。ツアーが楽しみだ。

(三宅正一)

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