SPECIAL OTHERS DVD&Blu-ray「Live at 日本武道館 130629 ~SPE SUMMIT 2013~ DVD」ディスクレビュー

Live at 日本武道館 130629 ~SPE SUMMIT 2013~ DVD

DVD&Blu-ray

SPECIAL OTHERS

Live at 日本武道館 130629 ~SPE SUMMIT 2013~ DVD

ビクターエンタテインメント

2013.10.09 release

初回限定盤 <2DVD>
限定盤 <DVD>


横浜で生まれたトライバル・ミュージックが武道館を染めた夜

 近年、これほど軽やかに武道館のステージに立った国内のバンドはほかにいるだろうか? 徹頭徹尾いつもどおりに“大きな玉ねぎ”を自分たちの音の色彩に染め上げてみせたのが、なんともスペアザらしかった。やろうと思えば、もっとステージ装飾を派手にすることもできただろうし、ゲスト・アーティストを招くことだってできただろう。しかし、スペアザが地元・横浜市鶴見区から、ここ九段下まで歩んできた道のりと景色を考えれば、普段着のまま武道館に立つことに最大の意味があった。だからこそ、満員のオーディエンスもいつものライブとなんら変わらない姿勢でスペアザサウンドを心地よく浴びて、ナチュラルなモーションで身体を揺らし、グルーヴが最高潮に達したポイントで歓喜の声を上げていた。

 彼らの奔放かつメロディアスなインストジャム・サウンドは、歌なき音楽のポピュラリティーをおおらかに体現することで、この国の音楽シーンにおける歌の位置付けに対するカウンターとしても機能してきた。また、そのマインドは、フェス文化の成熟とあいまって、リスナーにインスト・バンドの醍醐味を啓蒙したとも言える。そして、そのサウンドスケープにほとんどネガティブな気配を漂わせず、陽性のダイナミズムに彩られた“桃源郷的音楽”を生み続けてきた。例え歌が乗ったとしてもスペアザサウンドの核心が揺るがないことは、2011年リリースのコラボレーション・アルバム『SPECIAL OTHERS』で証明された。以下の発言は、その『SPECIAL OTHERS』のリリース時に「WHAT’s IN?」本誌で行ったインタビューで語られたものである。

宮原良太「世の中には破壊的な音楽もありますけど、俺たちは安らぎとかファンタジーとかを求めてるというのが根源にあると思うんですよ」
芹澤優真「俺らの地元ってブルーワーカーの街で、小さい頃からネガティブな風景をずっと肌で感じていたんですよ。だから音楽では自然とポジティブなものを求めるようになった。そもそもネガティブな音楽って、裕福な環境からのほうが生まれやすいと思う。俺らみたいに土着的で、民族的な要素の強い音楽は、どこの国や地方を見ても、裕福ではない土地から生まれていると思うんですよね」

 横浜のトライバルミュージックとして生まれたスペアザサウンドが、ポピュラーミュージック・シーンの濁流を悠々と泳ぎ、その過程で武道館ライブを大成功させたということ。本作はその幸福な記録である。

(三宅正一)

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