家の裏でマンボウが死んでるP – 2ndアルバム『壊れた世界で花を抱く』をリリースしたボカロPの裏マンP。今作やこれからの音楽シーンを語る。

家の裏でマンボウが死んでるP

ボーカロイド・シーンを代表する若き鬼才クリエイター、家の裏でマンボウが死んでるPが生み出した2ndアルバム『壊れた世界で花を抱く』が超絶ヤバイ。ロック、メタル、ニューウェーブ、歌謡サウンドがミックスするカオスっぷり。荒唐無稽な妄想世界によって紡がれる物語が、過剰なロック・サウンドとの邂逅の結果、かつてないドラマチックな感動(笑+泣)が待っているのだ。まずはユニットの成り立ちから解説しよう。音楽・原作・脚本を担当するタカハシヨウが、「家の裏でマンボウが死んでる」なる楽曲をニコニコ動画に投稿し注目を集め、リスナーによる命名でアーティスト名が決定し、実姉であり漫画・イラスト・動画を担当する竜宮ツカサが合流し、2人組ユニットとして家の裏でマンボウが死んでるPが誕生した。メジャー第2弾となるSF超大作アルバム作品『壊れた世界で花を抱く』は、楽曲、書き下ろし小説、挿絵、ボイス・ドラマが重なり合ってひとつのドラマを織りなす脅威のメディアミックス作品に仕上がっている。先行して、小説とのメディアミックス作品「カゲロウプロジェクト」が話題のじん(自然の敵P)と、ある意味表裏一体ともとれる気鋭のボーカロイド・クリエイターの才気に注目すべし!

INTERVIEW & TEXT BY ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)

 

買った人がわかる楽しさを作ろう

──2ndアルバム『壊れた世界で花を抱く』はどういう考えで作られたアルバムなんですか?

元々ネットで活動していることもあって、曲だけであれば無料で聴けるわけですよね。でも曲を知って楽しんでくれてる方々に、もう一段階何か楽しいことを見せられないかなと思って。曲同士を関連づけて整頓して、普通に聴いていた曲も実は表裏あるという感じで、買った人がわかる楽しさを作ろうというコンセプトにしました。

──動画や歌詞世界観だけじゃわからなかったことが、ボイス・ドラマも導入されたことで繊細に伝わりやすくなってますよね。ボイス・ドラマという手法に取り組まれたきっかけは?

小説「クワガタにチョップしたらタイムスリップした」の特装版用にボイス・ドラマを作った経験があったんです。あのときは元のストーリーを広げるものであまり難しくはなかったんですが、今回はストーリーを作る段階からボイス・ドラマの構想を練りつつ曲を書いていたので、新たな挑戦でもありましたね。

──CD、小説、そしてボイス・ドラマといろんなアウトプットがあるというのは、通常のアーティストではなかなか構成しきれないものだと思います。それでもやりきった原動力はなんですか?

なんでしょうね……仕事なので(笑)。

──ははは。お客さんの顔、楽しませたい相手がリアルに見えるというのは、人気指数とも言える再生回数で反響が可視化されてしまうニコニコ動画というコミュニティでお客さんとともに育ってきた流れがあるからこそなんでしょうか?

確かに、ファンとの距離はメジャーなアーティストより近いかもしれませんね。ネットでは具体的なリアクションをすぐもらえますから。小説を初めて出したとき、元々がミュージシャンなので「なにやってんだお前!」というリアクションもありました。とは言え自分的には変なことをやっているつもりはなくて、曲を作るときと同じ気持ちでやっているんですね。小説やボイス・ドラマなど、ほかの媒体で作品を作ってきた経験が無駄じゃなかった、回り道ではなかったということを証明しようという気持ちで、本作で今までの経験を全部生かすイメージで全精力を注ぎ込みました。

──1stアルバムのキャラクターが登場する連動感もありますよね。

それは偶然でもあったんですけど(笑)。いじりやすいやつがいたので引っ張ってきました(笑)。

気合い入りまくってます

──すべてが連動してるようで、それぞれ楽曲が独立して楽しめる工夫っぷりもさすがですよね。ちなみに1曲目「オーロラは毛穴が開いてるだけじゃなかった」から、ギター・サウンドがかなり突き抜けていて、相当心を持っていかれました。注目してほしいポイントですよね。

1曲目では初めてギターの弦を切りました(笑)。ギター10年ぐらいやってて一度も切ったことがなかったのに。初めて切ったのがこのアルバム1曲目のイントロですね。ライブも意識して作ったので、気合い入りまくってますね。

──今作の音づかい、かなりこだわりあってカッコ良いですよね。相当考えられて作られているなぁと。

そうですね。Logicに入っている音を全部聴くところからはじめました(笑)。

──ボーカロイド文化がどんどん広がる反面、初期ボカロPの間ではボーカロイドを使わなくなっている人もいますよね。最近では初音ミクが海外展開もはじめています。そして、ボカロ文化は10代への浸透度がすごく伸びていると言われてます。そのへんの実感はありますか?

先月からラジオを始めて、メールをくれるのが中高生中心なんです。「クラスでもみんな聴いています!」っていう意見があったり。「隠れて聴いてます」っていうのも来てましたが(笑)。だんだん広がっているんだなという実感はありますねぇ。

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