RADWIMPS – 台風の上陸による悪天候をはねのけ無事に開催された“青とメメメ”。なんと約7年ぶりの“味噌汁’s”も登場!【ライブレポート】

RADWIMPS

雨のち曇り、時々晴れ、そしておぼろ月夜。降り続いていた雨は開演のほぼ1時間前に上がり、雲の間からうっすらと青空も見えていた。野外でのライブは天候に左右されるところもあるのだが、RADWIMPSは天さえも味方につけているようだった。

TEXT BY 長谷川誠 PHOTOGRAPHY BY 古溪一道

すごく楽しいよ。最高です。

「今朝起きたとき、こういうことなのかなと思って。今日ここに来られなかった人、この場にいられない人、その人たちみんなが雨になって、この場に駆けつけたのかなって。今日はそんな気持ちを込めて歌います」と野田洋次郎(vo、g)。オープニング・ナンバーの「One man live」も彼の言葉どおり、震災の犠牲者を悼む気持ちも復興への願いも、すべて歌の中に込めるかのように響いてきた。約2万2千人の観客だけでなく、見えないたくさんの魂に向かっても、彼らは音楽を放っていると感じた。バンドの生み出すグルーヴと何万もの鼓動が共鳴していく。ソリッドでハードなサウンドが気持ち良い「ギミギミック」を始めとして、野田、桑原彰(g、cho)、武田祐介(b、cho)、山口智史(ds、cho)のアンサンブルも実にスリリングだ。「なんちって」では桑原のトークで急に音が途切れてブレイクするおなじみの演出もあり、会場内から「もう1回」コール。こうしたステージと客席との双方向のコミュニケーションにも彼らのライブの魅力がある。観客のシンガロング率も高い。野田の歌声、歌詞、メロディにはつい一緒に歌いたくなる魅力が詰まっている。桑原のギターと武田のベースの掛け合いがスリリングだったのは「遠恋」だ。「ヒキコモリロリン」では山口の横で野田がドラムを叩いて、Wドラム編成になる瞬間もあった。ここでは桑原と武田も向き合ってセッション。バンドの緩急自在な連携は見ていても楽しい。

130920_livereport_radwimps6

「すごく楽しいよ。最高です。晴れて良かったー!」と武田。山口はこんなMC。「会場に近づくと、お客さんが並んでるのが見えてきて、こんなに雨が降ってるのに、めっちゃ並んでいて、テンションもバリバリ上がりました。ステージに上がって、みんなを見たら、みんなの気持ちが伝わってきて、泣きそうでした」

 彼らは様々な思いをすべて音楽のパワーへと変換していた。「シザースタンド」では武田がシェイカー、シンセサイザー、アップライト・ベースを弾いたり、野田と桑原がそれぞれ片手でピアノの連弾をしたり。純粋に音楽そのものの創意工夫によって、観客を楽しませるステージでもあった。

「ライブで初めてやる曲、やってもいいですか」という言葉で演奏されたのは野田が作詞、作曲、プロデュースしたCharaへの提供曲「ラブラドール」のカバー。表情豊かな演奏に聴き惚れた。客席も一緒になってのハンド・クラップで始まった「いいんですか?」では野田が桑原のおでこにキス! たしかに、ついそうしたくなるピースフルでラブリーな空気が会場内には流れていた。

今日のこの日を思い出しながら、生きていこうと思います。

 中盤では野田が石巻のサルコヤ楽器を訪れて、被災して水没してしまい、2ヵ月かけて修理されたグランド・ピアノを見学するドキュメント映像が流され、実物のピアノがステージ上に登場。そのピアノによる野田の弾き語りで始まったのは「ブレス」だった。後半はバンドも参加。この曲のラストの“育つように”“始まるように”“僕は歌う”というフレーズは祈りのように響いてきた。黒い帽子、白いシャツの野田はまるでそのピアノの鍵盤の一部のようだった。続いての「螢」の演奏に入る前にピアノを弾きながら、「ヤバいな。本当にいい音するんだよね。泣きそうになるわ」と言って、野田がしばし涙。いや、彼の頬を濡らしていたのは止んだはずの雨の粒だったのかもしれない。やや鼻声での「螢」での繊細な歌声を包み込むようなバンドのふくよかな演奏も素晴らしかった。螢の光を再現したような照明も綺麗だった。被災したグランド・ピアノでの演奏はここまで。続いての「ブリキ」では桑原がアコギを肩に掛けながら、ピアノを演奏したり、ギターを弾いたり。野田の語りかけるような歌声はあたりを浄化していくかのようだった。

 胸が熱くなったら、次は体が熱くなる番だ。「DADA」からはダイナミックでワイルドな演奏が続く。バンドの自在なセッションが魅力的な「おしゃかしゃま」、ギターもベースもドラムも歌っているようだった「夢番地」、会場内が一体となってシンガロングした「ふたりごと」、空が群青色に染まっている中での「君と羊と青」、スケールの大きな演奏に会場が揺れた「ドリーマーズ・ハイ」などなど。この地、この場所だからこその特別な何かが宿った演奏が続く。

「今日のこの日を思い出しながら、生きていこうと思います。みんなにとってもそんな日であったならいいなあと。何度も何度も思い返そうと思います。素晴らしい時間をありがとう。忘れないよ」という野田の言葉に続いての本編ラストは「オーダーメイド」。4人の気配、息づかい、体温までもが伝わってくる熱演。

130920_livereport_radwimps7

 アンコールでカート車に乗って登場して、客席の下手側のサブ・ステージに姿を現したのはRADWIMPSではなくて、鼻メガネと味の文字が浮かぶ赤いTシャツ姿の味噌汁’sの4人だった。なんと7年ぶりのステージ。観客がサブ・ステージに押し寄せていく。彼らの名前を世に知らしめた曲、「ジェニファー山田さん」に続いては新曲「にっぽんぽん」。一度聴いたら忘れられないキャッチーかつシャープな歌詞もナイスだ。観客も盛り上がりまくり。花火が上がるサプライズもあった。が、もちろんここで終わるわけにはいかない。Wアンコールではメイン・ステージに再びRADWIMPSとして登場。新曲「ラストバージン」が披露された。野田の弾き語りでの始まり。広がりのある柔らかなラブ・ソングなのだが、芯の強さも感じ取れる。ヒューマンなサウンドからはバンドのさらなる進化も見えてくる。この日のラスト・ナンバーは「有心論」。2万2千人のシンガロングがみちのくの夜空に鳴り響く。最後の最後まで会場内はひとつになっていった。それもバンドと観客だけでなく、大地も木々も空もひとつといった感じ。“雨降って地固まる”ということわざがあるが、この日のライブがまさしくそう。雨が降り、止み、観客が飛び跳ねて、大地が固まっていく。思いの詰まった歌と演奏とピュアな涙によって、観客の胸の中に灯りのようなものがしっかり刻まれた夜となった。雨が降っても、闇が訪れても、その光は消えることがないだろう。

MWAM5

SETLIST

01. One man live
02. ギミギミック
03. なんちって
04. 05410-(ん)
05. 遠恋
06. ヒキコモリロリン
07. 指切りげんまん
08. シザースタンド
09. セプテンバーさん
10. シュプレヒコール
11. ます。
12. ラブラドール
13. いいんですか?
14. ブレス
15. 螢
16. ブリキ
17. DADA
18. G行為
19. おしゃかしゃま
20. 夢番地
21. トレモロ
22. ふたりごと
23. 君と羊と青
24. 俺色スカイ
25. ドリーマーズ・ハイ
26. オーダーメイド

ENCORE1
01. ジェニファー山田さん
02. にっぽんぽん

ENCORE2
01. ラストバージン
02. 有心論

DISC INFORMATION

SINGLE 2013.10.16 release
「五月の蝿/ラストバージン」
EMI Music Records

PROFILE

ラッドウインプス/野田洋次郎(vo、g)、桑原 彰(g、cho)、武田祐介(b、cho)、山口智史(ds、cho)。’01年結成。インディーズで活動後、’05年にシングル「25コ目の染色体」でメジャー・デビュー。今年10月16日には待望のニュー・シングル「五月の蝿/ラストバージン」のリリースが決定。また、2014年には、2011年に開催した“RADWIMPS 絶体延命ツアー”以来となるツアーも発表している。

関連リンク

RADWIMPS OFFICIAL WEBSITE
Twitter
YouTube

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

M-ON! MUSICの最新情報をお届けします。

この記事に関するキーワード

この記事を書いた人