テスラは泣かない。 MINI ALBUM「Anderson」ディスクレビュー

Anderson

MINI ALBUM

テスラは泣かない。

Anderson

mini muff records

2013.09.04 release

<CD>


スキマ、なし。鹿児島から鳴らすエモーショナル・ロック

 ときに可憐に、ときに奇妙に、耳にこびりつくピアノのリフレイン。エッジーなギター・サウンドと、攻撃的で存在感のあるリズム隊。イノセントでありながらも、勢いのあるボーカル。すべてが、緻密。昨年8月、全国流通盤1stフル・アルバム『High noble march』を発表し、リリース当初から話題を呼んだ鹿児島在住の4人組ロック・バンド、テスラは泣かない。それから約1年、ライブ活動は控え、レコーディングに専念してきた彼らの、待望の最新作がついに届いた。

 ミュージック・ビデオも制作された「アンダーソン」では、プロデューサーとしてミト(クラムボン)が迎えられている。奥行きのあるコーラス・ワークと、そこから爽快に突き抜けるサビが超絶に気持ちの良い、オープニングにして必聴の1曲だ。約1年をかけて制作されてきたというだけあって、盤全体の密度が異常に高い。柔らかさと鋭さ、熱情と無機質といった、バンドが元々持っている静と動のコントラストが、今作ではよりブラッシュアップされ、鮮やかに鼓膜に刺さる。その音色ひとつ、サウンドの選び方ひとつ、とにかく無駄がないのだ。

 冒頭で、ボーカルである村上 学(vo、g)の声をイノセントと評したが、斜に構えた言い方をすれば、子供っぽくもある。ましてやそこにピアノの音色が乗れば、キレイで平板な音楽が生まれがちだ。だが、それを見事に避けているのもまた、歌い手であり全作詞を手がけている村上のスキルだ。特に「Calico」でのライム、「梵」の切れ味抜群のメロディ・レスな歌声は鳥肌モノ。村上の非凡な才能、各メンバーの技術の高さ、非妥協を強く強く感じさせる楽曲の濃密さによって、彼らの音楽は精細さや品格を持ちつつも、シッカリと厚みを持って存在している。

 “ハイノフルマチ”鹿児島在住の彼ら。個人的には今作を持って、よりアグレッシブに活躍してほしいところだが、果たして彼らの意向はいかに。何にせよ『Anderson』が多くの人々に聴かれるべき盤だということは、間違いないのではないか。

(小島双葉)

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