SPIRAL LIFE ALBUM「FURTHER ALONG -20th anniversary mix-」ディスクレビュー

FURTHER ALONG -20th anniversary mix-

ALBUM

SPIRAL LIFE

FURTHER ALONG -20th anniversary mix-

SPACE SHOWER NETWORK

2013.09.04 release

<CD>


日本の’90年代を象徴する、知る人ぞ知る名盤

 ハッピー・マンデーズ、ザ・ストーン・ローゼズ、ザ・シャーラタンズ、808ステイトなどを生み出したマッドチェスター・ムーブメントは、当時(’80年代の終わりから’90年代に入った頃まで)の日本のバンドにも大きな影響を与えた。その頂点はもちろん『DOCTOR HEAD’S WORLD TOWER -ヘッド博士の世界塔-』(’91年)だと思うが、フリッパーズ・ギター解散後の空白を埋めてくれたのは、(少なくとも自分にとっては)SPIRAL LIFEだった。最初に聴いたのはラジオから流れてきた「ANOTHER DAY, ANOTHER NIGHT」。その頃のトレンドだったサイケデリックなロック・サウンドの完成度もめちゃくちゃ高かったが、もっとも心を惹かれたのは、メロディ/ハーモニーの素晴らしさだった。このバンドのボーカルが“BAKU”(10代の男の子3人によるビート・パンクっぽいバンド。正直言って、当時はまったく興味ありませんでした)の車谷浩司だと知ったときも、本当に驚いた。え、こんなに良い曲が書ける人だったの? と。

 本作『FURTHER ALONG -20th anniversary mix-』は、車谷と石田ショーキチによるSPIRAL LIFEのデビュー盤。ザ・ビートルズ、ザ・バーズ、ザ・ビーチ・ボーイズ、ザ・ゾンビ—ズ、ザ・モンキーズといったバンドからの影響を独自のセンスで吸収、さらにハウス・ミュージック、テクノなどの要素を加えつつ再構築した音楽性は、’90年代前半の渋谷系のスタイルと重なる部分を持ちつつも、サウンド・メイクの質の高さと“歌”の素晴らしさによって、単なる流行には終わらない普遍性を獲得している——というリリース当時に抱いていた感想は、20年経ったいまもまったく変わらない。石田による精緻なリミックスにより、アレンジの奥深さ、音質の良さがしっかり感じられるのも、本当にうれしい。

 できればこのアルバムを、10代〜20代の若いリスナーに届けたい。20年前の日本にこんなにも豊かなポップ・ミュージックが存在していたという事実、そして、その音楽が今も美しい光を放っていることをたくさんの人に知ってほしいと、心から願う。

(森朋之)

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