Drop’s ALBUM「DAWN SIGNALS」ディスクレビュー

DAWN SIGNALS

ALBUM

Drop’s

DAWN SIGNALS

STANDING THERE, ROCKS/KING RECORDS

2013.09.04 release


女子5人組のブルースロック・バンドが鳴らす始まりの合図

 19歳とはどういう歳であっただろうか? 倍以上生きてしまった今となってはよく思い出せないが、たしか、これから始まる広い世界が怖くもあり、だけど大人を醒めた目線で見切っていた気もするし、最初の試練の結果に呆れ、こんなものかという諦めと、こんなものじゃないはずだという苛立ちで困惑していた気がする。

 平均年齢19.6歳の女子5人組のロック・バンド、Drop’sは、時に不安定で激しく、時に切迫した感情を、ソリッドで渋いブルース・ロックにぶつけ、スモーキーな歌声でシャウトする。しかし、そこにあるのは、社会に対する怒りや不満だけではない。もちろん、もやもやした想いもあるが、5人で音を鳴らしているこの瞬間だけは輝いていたいという、バンドに対する純粋な欲求であるのではないかと思う。

 改めて紹介すると、Drop’sは、2009年に高校の軽音楽部で出会った女子5人で結成された、札幌在住のロック・バンド。高校2年生の夏休みに作った、初のオリジナル楽曲「泥んこベイビー」を携えて参加した、高校生バンド・コンテストで見事にグランプリを獲得し、高校3年生の7月には1stミニ・アルバム『Drop’s』をリリース。同年12月には同郷のロック・バンド、爆弾ジョニーとのスプリット・シングル「SPLIT」を発表し、その1年後には夏フェスへの参戦も果たし、東名阪ツアーも開催した。精力的なライブ活動を続けるなか、今年3月にリリースした2ndミニ・アルバム『LOOKING FOR』を引っ提げた全国ツアーの最終日に、メジャー・レーベルへの移籍を発表。タワーレコード限定シングル「太陽」のリリースを経て、初のフル・アルバム『DWAN SIGNALS』を完成させた。

 タイトルを直訳すると“夜明けの信号”になる。本作のオープニングを飾るロックンロール・ナンバー「RED IDENTITI BAND」で彼女たちは、赤いライトに照らされた地下のライブハウスにいる。続く、聴き手の心と身体を揺さぶるブルース・ロック「荒野のビート」で、少しずつ“夜明け前”に近付き、「風の向こうに ひろがっている いま 踏み出すのさ ビルディングの荒野へと」と決意を固める。「夜が明けたら 外へでよう」と歌うヒリヒリしたアコースティック・ナンバー「やさしさ」から、夜と朝の間を舞台にしたどブルース「カーテン」を経て、リード・シングル「太陽」で目の前の信号が変わり、新しい世界へと歩みを進める。その先にあるのは、「風が生まれる場所」であり、「未来とよばれる どこか」だ。あらたな場所で音楽に向かい始める決意を込めた、始まりの合図は実にメロディアスで、青く切なく、胸に響く。

(永堀アツオ)

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

M-ON! MUSICの最新情報をお届けします。

この記事に関するキーワード

この記事を書いた人