SAKANAMON – バンド初のタイアップ&書き下ろし!! ドラマ「たべるダケ」OPテーマ曲「花色の美少女」から紐解く、ソング・ライター藤森元生の魅力──。

SAKANAMON

注目度が急上昇中の3ピース・バンド、SAKANAMONが2ndシングル「花色の美少女」を完成させた。こちら、人気コミックを、元ミドリの後藤まりこの主演でドラマ化した「たべるダケ」のオープニングテーマとなっているのだ。彼らにとって初のタイアップというだけあって、さらに名と音が広まることだろう。聴き心地はあくまでポップ。だけど、歌詞を掘り下げると、人間のダーク・サイドを描いていたり、言葉遣いも独特だったりして、楽曲が思考を凝らしたメカニズムで成り立っていることがわかる。文系のギター・ロック、と言い切ることができない、興味深い複雑さを孕んでいるバンドだと思う。今回は、ソング・ライティングの要である藤森元生(vo、g)に、バンドのことから楽曲のことについてまで、徹底的に突っ込んだ。

INTERVIEW & TEXT BY 高橋美穂

もっとみんなに楽しんでもらえるような音楽を作りたくなった

──SAKANAMONの初めてのタイアップが、ドラマ「たべるダケ」って、すごく相性のいい組み合わせですよね(笑)。

そうですね(笑)。いい形のタイアップだと思います。

──でも、まず気になるのはSAKANAMONって、プロフィールに「聴く人の生活の“肴”になるような音楽を作りたい」って書いてありますけど、炭水化物やメイン・ディッシュじゃなくていいのか!? っていうところなんですよ。

もともと、SAKANAMONっていう名前にしようと思ったのは、僕がお酒にハマって、お酒にまつわる名前にしたくて……なんて言うんですかね……お酒に合う音楽がいいと思って。人の生活が資本にありまして、それをお酒と喩えて、それをもっと華やかにできるものは何かと言ったなら、あくまでもおつまみ的なものなんじゃないかなと。より美味しく飲めるためのものであるという。

──藤森さんにとっても、音楽ってそういう存在だったというところがあるんですか?

そうですね。そもそも、高校時代から聴いていた音楽たちは、自分のバック・ミュージックと言いますか、人生において大切なものだったので。登下校中とかに聴くような音楽であってほしいと思っていましたね。自分が聴いていたような音楽を作れたらいいなって。

──生活を浸食するより、生活を輝かせる音楽を作りたいと思っていたんですね。

そうですね。

──それは、SAKANAMONを結成したときから考えていたことだったんですか?

いや、もともとは浅はかというか、ただ楽しければいいやっていうバンドだったんですけど、CDを出させてもらうキッカケをもらってから、もっとみんなに楽しんでもらえるような音楽を作りたくなって。自分勝手だった方向が変わってきたんですよね。

──以前は自分たちの生活の肴にしたかったバンドを、聴いている人の肴にしたいと思うようになってきた、というか。

そうですね。そっちのほうが大事になってきたんですよね。

いいと思ってくれる人がいることに、感銘を受けまして

──さっきおっしゃっていましたけど、そうなったのはCDを出してから?

そうですね。こんなにたくさんの人たちに聴いてもらえるとは、まったく思っていなかったんで。いいと思ってくれる人がいることに、感銘を受けまして。

──絶対にメジャー・デビューしたい! っていうような野望があったわけではなかったんですね。

どちらかと言うと、良いと思ってくれる人だけ聴いてくれればいいやっていう思考でしたね。要は、自分勝手だったんですね。自分が楽しければ、あとはなんでも良かったんで。

──ほかのメンバーのことは?

どうですかね? 当時はふたりがどう考えているかはわからなかったんですけど(笑)。ふたりも楽しんでくれるように、気を遣いながらやってはいましたけどね。

──じゃあ、今の状況は、うれしいのはもちろん、びっくりというか。

そうですね。良かった……って感じでしたね(笑)。

──そういう状況になってから、楽曲やライブにどんな変化が生まれていきましたか?

そうですね……徐々にっていう感じですけど、お客さんが来始めてからもっと、演奏に気を使おうとか、みんなが盛り上がるように何かしなくちゃとか、そういう動きが出てきたというか。そういう曲の作り方もするし、MCもするし、パフォーマンスもしつつ、自分勝手にできる方法を探りつつっていう感じですね。なんだかんだ、自分のやりたいことは絶対にやるので。

──なるほど。じゃあ今は、そのバランスを考えている感じなんですね。

はい。つねに探り探りな感じですね。

そこまで過剰なファンではないですよ。デフォルメしつつ

──シングルの話にもいきたいのですが、「花色の美少女」の歌詞は、実体験に基づいているのでしょうか?

そうですね。ほぼ、自分のことですね。それを混ぜつつ、抽象的に表現している感じですかね。

──これ、セルフ・ライナーノーツに「美少女(アイドル)に日々を救われる男性をテーマにした曲です」ってありますけど、藤森さんが実際にのめり込んでいないと書けない歌詞だと思ったんですけど。

ははははは! モデルにしているアイドルはいるんですけど、そこまで過剰なファンではないですよ。デフォルメしつつ。

──モデルは誰なんですか?

これは、元ももいろクローバーの、早見あかりちゃんです。「花色の美少女」の“花色”は、薄い藍色なんですよ。早見あかりちゃんのイメージ・カラーが、ももクロのときブルーだったので、そこから考えていきました。

──細かい! 聴いていると、過剰なファンではないと言いつつ、過剰なファンの気持ちを理解している感じがしますよ。

そうですね。でも、アイドル・ファンはバンドマンでも多いですよ(笑)。

──聴きようによっては……。

気持ち悪い感じですよね(笑)。そういう感じを狙いつつ書いたので、危ない感じがしたらいいなあと。それを爽やかに昇華してあげました。

──藤森さんも、アイドルにかぎらず、何かを好きになるとのめり込んでしまうような傾向があったりするんですか?

どうですかね? 自信持って言えるようなものは、特にないけどなあ……。あ、好きな女の子にのめり込んじゃうところはありますけどね。

イメージとぴったりというよりは、ギャップを考えています

──そうなんだ(笑)。「たべるダケ」の書き下ろしが、こういう歌詞になった理由ってあるんですか?

元々、こういう歌詞をいつか書こうと思っていて、今回のタイアップの話をいただいて、漫画とか脚本を読ませてもらって、このテーマは合うんじゃないかと。

──書き下ろしとはいえ、「たべるダケ」に寄り添うだけじゃなく、自分たちが温めていたテーマを合わせたんですね。

そうですね。あくまでも、SAKANAMONの曲であることは第一前提にして、書かせていただきました。

──でも、爽やかに昇華したって言っていましたけど、たしかに、メロディの切なさとか、トラックとのバランスがいいから、ポップに仕上がっている感じがします。

そうですね。曲と詞は、イメージとぴったりというよりは、ギャップを考えていますね。曲だけ聴いて、絶対に歌詞は想像できないようなところをめざしていますね。

──歌詞も独特ですよね。「妄想に耽った青春はノンシュガー まるで青汁」とか、絶妙な言い回しなんですけど、「青汁」なんて普通の歌詞にはなかなか出てこないから、絶対に引っ掛かるじゃないですか。そこは意図しているんですか?

なるほど! それはもう、意図ですね。日頃から、歌詞で聴いたことのない言葉や、印象的な言葉は意識して組みこんだりしますね。「青汁」もそうだし。

──それは、聴き手の耳に残ることを考えているから?

そうですね。それと、自分が好きなんで、入れたくなっちゃいますね。

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