WHITE ASH – 今夏フェスにおいてもその注目度の高さをアピールした彼らが、新曲「Crowds 」をリリース。フロントマン・のび太の人物像に迫る。

瞬く間にロック・シーンの注目株となったWHITE ASHの首謀者、のび太とは何者なのか?  アークティック・モンキーズ直系のクールなロックンロールをベースにしつつ、彼の類い稀な音楽センスとキャラクター性が、このバンドをやたら面白くしている。メジャーからは2枚目のシングルとなる「Crowds」は、テレビアニメ「ガッチャマン クラウズ」のオープニング主題歌に起用されているのだが、そういった背景を抜きにしても威風堂々とWHITE ASH節を響かせるこの曲で、バンドはまた一段高いステージに上がるだろうなと確信させる。のび太はいかにしてロックと出会い、覚醒し、今こうしてWHITE ASHを躍動させているのか。じっくり話を聞いた。

INTERVIEW & TEXT BY 三宅正一

バンドやったらモテるんじゃないかと。大学デビューしてやろうと(笑)

──WHITE ASHは大学の軽音サークルで結成したんですよね。

そうですね。大学1年生のときに。僕、のび太は“永遠の小学5年生”って言ってるんですけど(笑)。

──のび太さんにとってWHITE ASHが初めて組んだバンドだったっていう。

そうです。きっかけは、アークティック・モンキーズというイギリスのロック・バンドのミュージック・ビデオをテレビで観たときに“めちゃくちゃカッコいい!”と思って。それでギターを買って組んだバンドが、WHITE ASHなんです。最初はアークティックのコピー・バンドから始まって。楽器を始める前に大学に入学した時点で軽音サークルには入ってたんですけど、僕はそれまで楽器とか全然やったことがなくて。ずっと卓球部だったので……。

──卓球は中高やってたんですか?

そうです。もともと絵を描くのが好きで、小学生の頃からイラストレーターになりたいと思ってたくらいなんですけど……中学に上がったときに親から“運動部に入ったほうがいい”って言われて。で、身体をあんまり動かさない運動系の部活は何かなっていうことで、卓球部に入って。

──あくまで消極的理由で。

はい。でも、卓球部って意外と練習で走ったりするんですよね。全然モテないなあと思いながらやっていて。

──こう言ったらなんですけど、モテとは結構な距離のある部活ですもんね。

そう、だから大学に入ってバンドやったらモテるんじゃないかと思って。いわゆる大学デビューしてやろうと(笑)。それで軽音サークルに入ったのはいいんですけど、楽器ができないから、なかなかバンドを組めなくて。

──居場所がない、みたいな。

そうなんですよ。だから先輩とかに誘われるのを待ってたんですけど、全然声がかからなくて(苦笑)。そうやって悶々としているときにアークティックと出会ったんです。そのときに自分の中で“あ、こういうバンドがやりたい!”という衝撃があって。それからやっと自分から声をかけてメンバーを集めたんです。

どんどんシンプルかつカッコいいロックに惹かれていった

──しばらアークティックのコピーをやっていたんですか?

そうですね。2年くらい。アークティックをはじめ、UKだと、ザ・サブウェイズやブロック・パーティ、あとはスウェーデンのバンドですけど、マンドゥ・ディアオとか洋楽のギター・ロックのコピーをやっていて。どんどんシンプルかつカッコいいロックに惹かれていったんですよね。そのあとに自分たちでオリジナルを作ったら出来ちゃったみたいな。作ってみたら出来ちゃったパターンですね(笑)。

──出来ちゃったパターンかあ。自分のソングライティング・センスも未知数だったけど、洋楽のバンドをコピーするうちに曲作りの要領も掴んだということですか。

そうですね。それまでコピーしてた曲の雰囲気をひとつの枠として、そこに自分たちがカッコいいと思うメロディやフレーズを落とし込んだら出来たんですよね。

──たしかにリフのダークさとか、リズムの骨太さとか、グルービーで色っぽいメロディとか、アークティックからの影響は如実に感じるけど、そこにとどまらないオリジナルのメソッドを確立してますよね。それは、英語と日本語が8対2、あるいは9対1くらいの比率で綴ってるリリックのバランスや、のび太さんの声質のキャッチーさも大きくて。あとは、楽曲を形成している成分のほとんどが洋楽的だけど、そこはかとなく邦楽的なポップさもにじんでる。

それで思うのは、僕には歳の離れたお姉ちゃんがいて、15違うんですね。お姉ちゃんはハード・ロックが好きで、僕は保育園の頃からお姉ちゃんと一緒にガンズ・アンド・ローゼズとかモトリー・クルーを一緒に聴いてたんですね。

──すげえ英才教育だなあ(笑)。

それが最初の音楽との出会いで。その頃から自分の耳に聴こえたまま曲を口にする遊びをやってたみたいで。意味とかじゃなくて、語感的に口に出して歌うのが気持ちいいみたいな感覚は小さい頃から身についていたんですよ。そのあとにお姉ちゃんがTHE YELLOW MONKEYにハマって、もちろん僕も一緒に聴いていて。そこから自分で中村一義さんとかthe pillowsとかを好きになって、邦楽のロックのカッコよさにも目覚めていくんですけど。あとは、ずっとマイケル・ジャクソンが大好きで。

ピックアップしやすいフックがどの曲にもあるということを大事

──ああ、それは、のび太さんのボーカルのアプローチやメロディを思うと合点がいきますね。

だから、ポップな音楽が大好きというのが根底にあって。バンド的にはアークティックから始まってるものはもちろん大きくあるんですけど、替えがきかないことがすごく大事だなと思って。極端な話、アークティックとアークティックっぽいものであれば、本物のアークティックを聴いたほうがいいじゃないですか。

──間違いないですね。

なら、アークティックにはない部分がいかにちゃんとプラスされているかが勝負で。基本的に僕はいろんな音楽に影響を受けてはいるんですけど、同じような音楽を作ったときに、そっちを聴いたほうがいいってなるようじゃ意味がないと思ってるから。

──そこで肝になってるのはなんだと思いますか?

僕がすごく意識しているのは、“シンプルかつカッコいい”ということをコンセプトに置いて、曲においてはメロディとリズムに対するこだわりがいちばん強いですね。メロディもギター・リフも口ずさめるキャッチーさがあって、リズムがカッコいいと。“あれってどういう曲だっけ?”ってなったときに鼻歌で伝わるようなピックアップしやすいフックがどの曲にもあるということを大事にしてますね。

──のび太さんが幼少期にガンズの曲を口ずさめていたように。

そうそう。そういうフックはすごく大事にしたいですね。あとは曲を作るときに、僕らはどんどん削ぎ落す作業をするんですね。例えばドラムとベースと歌だけで成立するなら、そっちのほうがいいと思うし。WHITE ASHはギターが2本ありますけど、1本だけで成立するなら僕はギターを弾かなくてもいいやって思う。音数をどんどん減らしていって、それでカッコいいものが作れたら最高だなって思ってるんです。

必要な部分以外は徹底的に削ぎ落したい。本質以外は排除したくて

──今はどちらかと言うと足し算の発想でサウンドを構築しているバンドのほうが多いですよね。シンセや同期を多用したりして。そういう流れとは一線を画してますよね。

そうですね。僕が好きなバンドはシンプルにカッコいいことをやってる人たちが多くて。人としてできることをやってるというか。

──マンパワーでいかにカッコいい音を鳴らせるかっていう。

そう、僕はボーカルとギターとベースとドラムだけでカッコよく成立しているサウンドに自分の人生を変えられたから。そこに何も足さなくていいという考えが最初からありますね。アークティックに「I Bet You Look Good On The Dancefloor」という大好きな曲があって、あれってだいたい2分53秒なんですね。その2分53秒があれば伝え切れるということじゃないですか。だから、僕らも必要な部分以外は徹底的に削ぎ落したいんですよ。本質以外は排除したくて。

──そのストイックな美学って、のび太さんが根本的に持っているアート思考でもあるんですかね?

ああ、そうかもしれないです。絵でもごちゃごちゃしているものよりは、デカいキャンバスの真ん中にひとつポンと象徴的な何かが描いてあるような作品が好きだったりするし。キャンバスを全部埋める必要はないと思ってますね。

親近感があるんだけど、音楽はカッコいいロックを鳴らしてる

──この変声期直前みたいな中性的な声質については自分ではどう思ってるんですか?

自分の声はめっちゃいいなと思います(笑)。僕、お風呂場でよくメロディを口ずさんだりするんですけど、自分で“いいなあ”って思うんですよ。小さい頃から歌うとよく褒められてたし。軽音サークルでも、いざ歌ってみたら周りから褒められましたし。

──“え、こんないい声してたんだ!?”って。

そうそう。でも、最初は、人は見かけで判断しますからね(苦笑)。

──でも、この容姿とのギャップを逆手に取ってみせたのも、このバンドの勝因なのは間違いないと思う。そもそも、のび太と名乗ってるフロントマンが、こういうクールなロックを鳴らしてることが痛快だし。

まあ、のび太に関しては、僕が、のび太という人間なのでなんとも言いようがないんですけど(笑)、ロック・バンドにおけるフロントマンっていろんなタイプがいるじゃないですか。トム・ヨークみたいなタイプとか、リアム・ギャラガーみたいなタイプとか、日本人だったら浅井健一さんみたいなタイプとか。その中でひとつのスタイルとして確立した存在に自分もなりたいと思っていて。それこそ、ロック・バンドのフロントマンって近づきがたいとか、怖そうとか、カリスマ性があるとか、そういうイメージのある人が多いと思うんですけど。僕はそうじゃない親近感があるんだけど、音楽はカッコいいロックを鳴らしてるっていうスタイルを確立したいなって。

──そういう発想がアーティスト写真などで見られる人を食ったような遊び心にも繋がってるし。

そうですね。僕自身、カッコいいロック・バンドが好きなんですけど、自分がやるならその中に抜け感とかユーモアは忘れたくないんですよね。マジメにふざけるじゃないですけど、そういう何事も楽しむ気持ちはすごく大事にしたいですね。僕らの存在を使ってみんなを楽しませたいというか。それで、最終的には洋楽とか邦楽とかそういう枠組みを飛び越えたバンドになれたらと。

やる以上は多くの人に知ってもらいたいし、聴いてもらいたい

──リリックに関してはどうですか?

今回のシングルのリード曲になっている「Crowds」は「ガッチャマン クラウズ」のオープニング主題歌として初めての書き下ろしに挑戦して。っていうところで、アニメの世界観をちょっと意識しましたね。

──“のび太”が“ガッチャマン”のオープニングを歌うってヤバいよね(笑)。

ねえ? たしかにヤバいですよね。夢の架け橋的な(笑)。

──それはさておき、この「Crowds」という曲は、今のバンドの状態をそのまま描けば自ずとガッチャマンの内容ともリンクしたっていうところもあったんじゃないかと。

うん、ありましたね。“クラウズ”って“群衆”という意味がありますけど、僕は「ガッチャマン クラウズ」の作品性にある、ひとりの超人的なヒーロー像ではなく、仲間といろんな難局を乗り越えていくというメッセージを受け取って、“クラウズ”=“仲間”という意味に捉えて歌詞を書いたんです。それってバンドにも同じことが言えるから、そこでリンクした部分はかなりありますね。メジャーと契約することが決まったときも“ああ、メジャーにいっちゃうんだ”っていう反応があったんですけど、アニメのタイアップもネガティブなイメージを持つ人って少なくないじゃないですか。でも、アニメのタイアップ云々を抜きにして曲だけを聴いたときに、“やっぱりWHITE ASHカッコいい!”って言ってもらえるものを作ればいいと思ったから。実際にどこに出しても揺るがない曲が出来た自信があるし。だから、とにかく聴いてもらいたいですね。僕らのことをもっと知りたくなると思うから。

──そのアティチュードは揺るぎなく、多くのリスナーに訴求できるステージに打って出るという。

うん、わかる人だけわかればいいというのは好きじゃなくて。やる以上は多くの人に知ってもらいたいし、聴いてもらいたい。もちろん、自分たちがカッコいいと思うロックを鳴らすことは絶対にブレないのが大前提ですけど。人生一度しかないですからね。狭いところからどんどん広いところへいくという意味では、日本だけじゃなく海外も見据えたいと思ってるし。自分たちの音楽に対して限界を決めないでいたいですね。僕がカッコいいとか面白いと思ったことに対して、同じアンテナの感度で“いいじゃん”って言ってくれるメンバーと、それをちゃんと面白がってくれるスタッフがそばにいてくれるので。今は好きなことを好きなようにやるのが、最終的にみんなのためになってるんですよ。だから、遠慮するのは違うと思うんですよね。

──これからますます楽しみですね。

楽しみです。これからも、WHITE ASHをお見逃しなくって感じです。

DISC INFORMATION

SINGLE 2013.08.21 release
「Crowds」
VAP

通常盤

ガッチャ盤

※「Crowds」=日本テレビアニメ「ガッチャマン クラウズ」オープニング主題歌

「Crowds」Music Video Short Ver

LIVE INFORMATION

“Five Years with WHTIE ASH”
2013年9月15日(日)渋谷CYCLONE
“LIVE OCT vol.2”
2013年10月2日(水)なんばHatch
“ボロフェスタ 2013”
2013年10月26日(土)京都KBSホール/METRO
“2013ときわ祭 『UNISON SQUARE GARDEN / WHITE ASH』”
2013年10月27日(日)常磐大学 体育館
“POLYSICS対バンツアー2013 帰ってきたULTRA FIGHT OR DIE!!! 〜Everybody Say のびス!!!〜”
2013年11月10日(日)名古屋CLUB QUATTRO
“Tour I’M FREE “AFOCの47都道府県制覇!形ないものを爆破しにいくツアー/迷わず行けよ編””
2013年11月14日(木)高崎CLUB FLEEZ
2013年11月30日(金)徳島GRINDHOUSE
2013年12月1日(日)松山サロンキティ

PROFILE

のび太(vo、g)、山さん(g)、彩(b)、剛(ds)。“シンプルかつカッコいい”をコンセプトに、絶賛成長期の日本のロック・バンド。2013年、最も勢いのある新人におくられる“ニューブラッド賞”を受賞。2013年のホワイト(アッシュ)デーに、メジャー・レーベルへの移籍を発表し、移籍シングル「Velocity」にはメジャー(巻き尺)を封入した。

関連リンク

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