SOIL&PIMPSESSIONS ALBUM「CIRCLES」ディスクレビュー

CIRCLES

ALBUM

SOIL&”PIMP”SESSIONS

CIRCLES

ビクターエンタテインメント

2013.08.07 release

初回盤 <CD+DVD>
通常盤 <CD>


ジャズという自由な音楽表現が堪能できる10周年記念盤

 ともすれば、ジャズという音楽はその抽象性の高さから難しい音楽として捉えられがちだ。だからこそ、1980年代以降、全世界の音楽シーンでは、気軽に楽しむことができる”クラブ・ミュージック”としてのジャズが提唱され、サンプリングや打ち込み、あるいはリズム隊が生み出すループ・ビートを交えることで独自の進化を遂げてきた。

 2001年にクラブ・イベントで知り合ったメンバーによって結成。2003年に現在の6人編成となり、今年で10周年を迎えるSOIL&”PIMP”SESSIONSは、クラブ・ミュージックの感覚を持ちつつも、あくまでバンド・サウンドにこだわり、ジャズの魅力を広く伝えてきたインスト/ジャズ・バンドだ。

 スウィングする4ビートだけでなく、ロックの8ビートやファンクの16ビートを折り込み、あるいは印象的なリフや親しみやすいメロディを聴かせることで、彼らが提唱するジャズは、ジャズやクラブ・ミュージック好きだけでなく、ポップスやロック・ファンにも手の届きやすいものとなったばかりか、様々な音楽要素をミックスする絶妙なさじ加減が彼らの個性としてだけでなく、日本独自のジャズとしても海外で高い評価を得ている。

 そんな彼らの10周年アニバーサリーを記念した本作『CIRCLES』はこれまで、作品中数曲にとどめてきたゲストとのコラボレーションをアルバム全編にわたって展開している特別な作品だ。RHYMESTERをフィーチャーした「ジャズィ・カンヴァセイション」や過去たびたび共演している椎名林檎との「殺し屋危機一髪」という2曲の先行シングルをイントロダクションに、BONNIE PINK、福原美穂、七尾旅人という3人のボーカリスト、世界的なターンテーブリストであるDJ KENTARO、タブラ奏者のU-zhaan、サムライ・ギタリストとして世界進出も果たしているMIYAVIといったプレイヤーをフィーチャー。さらにジャズ・シンガーのホセ・ジェームズ、女性エレクトロニカ・アーティストのライアットといった海外勢にも参加を要請。全10曲でスウィング・ジャズやビーバップ、ラテン・ジャズにジャズ・ファンク、クラブ・ジャズ、サイケデリックなエスニック・ジャズといったジャズの多様性を堪能できると同時に、共演者に応じて、自在に変化するプレイの妙や個々の楽器が伝える洗練された歌心はこのアルバム最大の聴きどころと言えるだろう。また、SOIL&”PIMP”SESSIONSがこの10年で培ってきた音楽世界をガイドする一枚として、そして、ジャズの奥深い世界への第一歩として、この作品は絶好の機会を提供してくれるはずだ。

(小野田雄)

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