The SALOVERS SINGLE「アンデスの街でこんな夜はHOT HOT HOT!」ディスクレビュー

アンデスの街でこんな夜はHOT HOT HOT!

SINGLE

The SALOVERS

アンデスの街でこんな夜はHOT HOT HOT!

EMI Records Japan

2013.07.31 release


ドキュメンタリーのようなラブ・ストーリー

 ふつうシングルにはアルバムのようなタイトルがなくて、リード・トラックのタイトルをそのまま使うことが多いけれど、このシングルは収録した3曲のタイトルをひとつの文にして、タイトルにしている。つまりは3曲ともリード・トラックということだろう。そして3曲は、ひとつのストーリーだということでもあろう。

 わずか3ヵ月前のシングル「床には君のカーディガン」は、血気盛んな男子ならではの悶々とした気分を率直に歌っていたが、そうした思いを通過して訪れる内省的な気持ちを今回は歌っている。彼女と気持ちを通わせたくてホントは好みじゃないDVDを借りてみたり、思い悩んだ末に書いたメールを、送った瞬間に後悔したり。誰もがやらかすいろんなことが、まるでドキュメンタリーのように描かれる。

 本当は一緒に観る映画なんてなんでもいいのだ。一緒に過ごす口実と一緒に「いいね」と言える時間が欲しいだけ。甘い映画を観るからって自分が軟弱になったわけじゃないんだ、と自分に言い訳もして。「HOT HOT HOT!」は,そんな思いを抱えながら彼女の元へと高まる気持ちを、ギターがカラフルに動いて勢いのある演奏で伝えてくる。「アンデスの街で」は、歌詞はまったく関係ないのに語呂合わせでタイトルにしてしまったから、ちょいとアンデス民謡を意識したとも思える演奏に乗せて歌う、恋愛の起承転結。「オールド台湾」に続く仮想ワールド・ミュージックと言えようか。そして「こんな夜は」は、突き放された孤独な思いを伝える弾き語りだ。おそらく古舘佑太郎ひとりの一発録りだろう。これまでも弾き語りに近いバラードはいくつかあったが、これほど生々しいテイクは初めてだと思う。赤裸々に思いを訴える歌詞がヘコんだ男子の弱さをリアルに見せて、この歌が弾き語りでなければならない必然が浮かんでくる。曲のモチーフは変わっても、こうした内省は初期の彼等と通じている。長く曲がりくねった道を歩んでいても、The SALOVERSの目的地はブレていない。

(今井智子)

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