the HIATUS SINGLE「Horse Riding EP」ディスクレビュー

Horse Riding EP

SINGLE

the HIATUS

Horse Riding EP

NAYUTAWAVE RECORDS/ユニバーサルミュージック

2013.07.31 release


歓喜と野心に満ちたthe HIATUSの新章

 昨年12月6日に行われた“The Afterglow Tour 2012”ファイナルは、ホーン/ストリングス・セクションを含め総勢17名(!)というビッグ・バンド形態で行われ、前衛的かつ雄大なシンフォニーでNHKホールを包み込んだアクトは今思い出しても身震いしてしまうほど。始動から4年に及ぶ探求の果てに辿り着いた、the HIATUS最初の到達点といえるものだったと思う(その名演はDVD/Blu-rayとして発表されているので、ぜひご視聴を)。

 で、この1年8ヵ月ぶりとなる待望の新音源(3曲入りシングル)は、まさに“新章の幕開け”と呼ぶにふさわしい突き抜けた仕上がりとなった。アコースティック・ギター、ピアノといった生楽器が緻密かつ有機的に共鳴しあうタイトル・トラック「Horse Riding」は、柏倉隆史のトライバルなビートを推進力として、徐々に、一歩一歩を踏みしめるように高みへと駆け上がっていくアンサンブルが実に瑞々しく、それ自体が発光しているように思えるほど。全幅の信頼を寄せるバンドを後ろ盾に、細美武士のボーカルはまさに草原を駆ける駿馬のように伸びやかで、“今の俺たちならどこへだって行けるんだ”とでも言うような、自在かつ自信と確信に満ちたサウンドこそが、何よりも雄弁に新章の幕開けを告げている。

 続くカップリング曲はより実験的で、中でも白眉は変拍子を用いたマスロック的アプローチの2曲目「Don’t Follow The Crowd」。個々のサウンドはどこかアブストラクトだが、3分を過ぎたあたりで一気にイメージが具象化し、「群れを追いかけるな」(和訳)というメッセージと共に飛翔していくフェーズは圧巻。いずれの楽曲も、光の射すほうへと世界を導こうとする強い意志に貫かれているのだけれど、同時に新しいおもちゃを与えられた子供のような無邪気さにも溢れているので、ここまで開かれた音像になっているのだろう。ちなみにアート・ワークに起用された絵画は、ビーテル・ブリューゲルの名画「叛逆天使の墜落」。堕落を拒否し、あくまで高潔であろうとするthe HIATUSのアティチュードを象徴したものだと思う。

(奥村明裕)

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