
ALBUM
MINMI
I LOVE
Far Eastern Tribe Records/ユニバーサルミュージック
2013.07.24 release
初回限定盤 <CD+DVD>
通常盤 <CD>
生命を得て魅力的に響く歌声。筋の通った説得力ある一枚
人間であること、女性であることを謳歌しながら、決してそれに甘えることなく、自分の役割を全うするために邁進している人。そんな硬派なイメージがあるから、その逞しさ、力強さにばかりに目がいっていたが、今回こうやってアルバム1枚をジックリ聴く機会を得て、それだけじゃない繊細さ、柔らかさ、かわいさにも存分に触れることができた。共存する硬軟を、音楽的な文脈で自在に操ることができるからこそ、その歌声が生命を得て魅力的に響き、人を惹きつけてやまないのだ、という当たり前のことに改めて気づかされた。
大沢伸一をプロデュースに起用した1曲目「Lavender」からハッとする。大沢独特の浮遊感を、ベタつきのないクールでフェミニンな世界観に仕立て上げているのはさすが。m-floとのコラボである「TONITE」、中田ヤスタカのプロデュースによる「風に乗せて」が続くあたりの洗練されたオシャレ感も、実に涼しげ。かと思えばタイトル曲「I LOVE」では、「必要とされないかって よぎったSuicide」と胸を切り裂かれるようなロックなラップ。「この世が闇だと言わないでおくれ feat.サンボマスター」では、MINMIが旗を振る夏イベント“FREEDOM”での共演をきっかけに、本当に共感し合ってできたであろうコラボの熱い絡みを聴かせてくれる。ドスの利いた声がまた素敵だ、と思っていると、自らがピアノを奏でる「君がスキ」では、儚げな女の子像が浮かぶ切ないラブ・ソングが飛び出す。そこから続く「エンゲージリング」、「Ribbon」はまさに“歌”。心底うっとりしてしまった。が、それで終わるはずはなく、ラストの「ポジティブ音頭~D.P.P~ feat. SHINGO★西成」では、お祭り好き姐さんまる出しの特製ドンパン節を繰り出す。
いやー、このなんでもアリ、でありながらの、一本筋の通った説得力はスゴい。広げた大風呂敷をまとめあげる音楽的技量。それを一見そうとはわからない親しみやすいカタチにする力は見事というほかない。こんなふうに総合的プロデュースのできる人は、男女問わず稀有ではなかろうか。本当に聴きごたえのある一枚です。
(藤井美保)