クリープハイプ – 尾崎世界観(vo、g)のI、哀、愛 – メジャー2ndフル・アルバム『吹き零れる程のI、哀、愛』について、ディープなインタビューを敢行。4週にわたり公開するスペシャル企画。

クリープハイプ - 尾崎世界観(vo、g)のI、哀、愛

クリープハイプの首謀者であり、初期メンバーが脱退しひとりぼっちになったときもクリープハイプを名乗り続けた男、尾崎世界観。小川幸慈、小泉拓、長谷川カオナシとクリープハイプを再生してから4年。その道のりと、『吹き零れる程のI、哀、愛』を歌う理由。尾崎世界観はかく語りき。

INTERVIEW & TEXT BY 三宅正一 PHOTOGRAPHY BY 関信行(go relax E more)

ここまで合わないのは、逆にすごい。なんかあるはずだと思って

──このバンドは間違いなくひとりずつ話を聞いたほうが面白いわ(笑)。

へえ、そうなんだ(笑)。まあ、一応、僕も基本的に4人で受けるインタビューとかはみんなに気を遣いますからね(笑)。

──4人のときはちょっとかわすよね(笑)。でも、ホントにみんな個性的というか、なんというか。それぞれのパーソナリティを知れば知るほど、よくこの4人でバンドをやってるなって思う。改めて、奇跡的なバランスで成り立ってるバンドなんだなと。

そうですね。自分ではあんまりわからないんですけどね。でも、学校の同級生でもなく、年齢もバラバラじゃないですか。で、それぞれ別のバンドをやってきて……クリープハイプも一度は僕ひとりだけになったんだけど、でも、この4人になったときにうまくいってるという事実は面白いですよね。みんなそれぞれの過去を背負って今、音楽をやってると思うし。

──そもそもなんでこの3人をサポートに誘ったの?

とりあえずひとりになって、“もうバンドはいいかな”って一瞬思ったときもあったんですね。もともと仲のいい3ピース・バンド(新世界リチウム)がいて、ライブのときにその人たちがサポートをやってくれるという形でしばらく活動していて、それも楽しかったんですよね。でも、やっぱり彼らも自分たちのバンドがあるし、いつまでもサポートをやってもらうわけにもいかなくて。で、もう1組サポートがいたら、スケジュールの都合でライブを断ったりすることもないなと思って。

──なるほど。

で、どうせなら自分の周りにいる面白い人たちを誘ってみようと。ちょっとオールスターみたいな感じで。それでこの3人を誘ったんですね。でも、初めてスタジオに入ったときに「蜂蜜と風呂場」をやったんですけど、全然合わなくて。

──それ、みんなも言ってました。

うん。絶対良くなると思ったんですけどね。とにかくそれぞれの主張が強くて、デコボコすぎて。その日は落ち込んで帰ったのを今でも覚えてますね。でも、ここまで合わないのは、逆にすごいと思うようになったんですよ。なんかあるはずだと思って。で、しばらく一緒にやってるうちにだんだん合うようになってきて。

自分たちに期待してくれてる、憧れてる存在を見るような視線を感じた

──やっぱり何かが動き出しそうなある種の予感は覚えていたんだね。

そうですね。まだ3人がサポート・メンバーだったときに1回レコーディングもしたんですね。それはタワレコ限定のシングル(『mikita.e.p』/2009年10月リリース)で出したんですけど。そのときも手ごたえがあって。あ、あとその前にインディーズで出したCD(『When I was young, I’d listen to the radio』/2009年6月リリース)のタワレコ特典ライブが、下北沢のDaisy Barっていう僕らにとってホームのライブハウスであって。そのライブは昼間にやったんですけど、満員になるくらいお客さんが来てくれて。なんかね、そのときのお客さんの感じがそれまでとは違ったんですよ。

──どういうふうに?

今みたいに盛り上がったりはしないんだけど、友達や知り合いを呼んで満員になったんじゃなくて、ちゃんとライブを観たいと思って来てくれた人たちだけで満員になって。自分たちに期待してくれてるというか、ちょっと憧れてる存在を見るような視線を感じたんですよね。そのときに、“この4人ならいけるかもしれない”って思ったんですよ。で、3人に正式メンバーになるように打診して。

──このデコボコ感に賭けたいと。

う〜ん、そこまで強く思ってる感じでもなかったですね。もう、音楽に賭けたいとか、そういうふうにも思えなくなっていて。やめたくてもやめられないものっていう。

──そのあたりは前にやったロング・インタビュー(「WHAT’s IN?.txt」に掲載)でも語ってもらったけど。でも、3人が正式メンバーになったときはうれしかったでしょう? また自分の音楽についてきてくれる理解者を得たという意味でも。

そうですね。でも、そこでついてきたいと思ってもらえないと、これからやっていけないだろうなとも思ってましたね。

初めてだったんですよ。止まらずにバンドをやれたのが

──3人が3人とも出会った当時から尾崎くんの存在感はずば抜けていたと言っていて。

ああ、そうなんですか?(笑)でも、当時は自信を失っていたし、“一部の人間がそういうことを言うから俺は音楽をやめられなくなるんだよな”って思ってましたよ。

──それもまた尾崎くんらしいね。“変に評価するんじゃねえ”って?

そうそう。それはすごく思ってました。お客さんもずっとついてきてくれる人がそれなりにいて。ライブをやってもなんとかなっちゃうんですよね。けど、それもすごくイヤで。突き抜けるわけでもない状態が。

──このメンバーになってからの4年はあっという間でしたか?

そうですね。このメンバーになってからはホントに早かった。初めてだったんですよ。止まらずにバンドをやれたのが。それだけで充実してると思えたし。止まることができなかったとも言えますけど。でもまあ、“こんなバンドやめてやる!”って思ったこともありましたけどね。

──それはいつ?

メジャーと契約してからのレコーディング中とか。まあ、いつもの病気が出て。でも、絶対にやめられないし、裏切ってしまうことになる人が増えちゃうので。

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