Large House Satisfaction ALBUM「in the dark room」ディスクレビュー

in the dark room

ALBUM

Large House Satisfaction

in the dark room

GARURU RECORDS

2013.07.17 release

<CD>


多彩なサウンドを取り入れたバランス感覚最高の新作

 ラウドかつダイナミックなバンド・サウンドのなかで鳴り響く、爆発的な感情表現を伴う歌に圧倒される。どうやらこのバンドのボーカリストは、フロントマンとしての強い自覚とロック・シンガーとしての高い資質を同時に体現してしまったようだ。

 小林賢司(b)、小林要司(vo、g)の兄弟にドラマーの田中秀作を加えた3ピース・バンド、Large House Satisfactionの新作『in the dark room』。ガレージ・パンク、ブルース、ヘビー・ロック、4つ打ちのダンス・ビートなどの要素を本能的に反映させた音楽性、ライブの臨場感を想起させるサウンド・メイクも素晴らしいが、このアルバムの最大の魅力はやはり、要司の歌だと思う。まず印象に残るのは、どんなに激しく叫んでも、決してメロディ感覚を失うことがないボーカリゼーション。ロック・ミュージックの激しさ、色っぽさ、暴力性をダイレクトに示しつつ、幅広い音楽ファン(例えば、普段はロックを聴かない人も含む)にアピールするドラマチックな旋律を描き出す。このバランス感覚の良さは、天賦の才と言っていいだろう。

 また、怒りや葛藤をそのままブチまけるだけではなく、冷徹な視線と鋭い知性によって、より普遍的なメッセージをたたえた歌へと導いていく表現力も強く心に残る。例えば「尖端」における「尖った意思で/突き刺し切り裂き/そのまま闇を抜ける」というフレーズ。どうしようもなく停滞を続ける現状を肯定するでも否定するでもなく、自分自身の確固たる意思とともに闇の向こう側へ突き抜けようとする——そんな態度を示したこの曲はそのまま、Large House Satisfaction というバンドのアイデンティティに結びついているのではないだろうか。

 一時的な現実逃避(ライブのときだけ盛り上がって、“あー楽しかった”とか言いつつ、次の日にはすべてを忘れているような……)ではなく、ロックの快楽と興奮を最大限に増幅させながら、聴く人の思考、世界観を揺さぶるような深さも備えている『in the dark room』。要司のボーカルを軸に置いて本作よって彼らは、さらなる飛躍を果たすことになりそうだ。 

(森 朋之)

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