石崎ひゅーい ALBUM「独立前夜」ディスクレビュー

独立前夜

ALBUM

石崎ひゅーい

独立前夜

EPICレコード

2013.07.17 release


本質的な意味において、今最も、Mr.Childrenに迫る歌

 時代に求められるべきシンガー・ソングライター。
 そういう生々しい旋律と響きと熱を、石崎ひゅーいの歌は纏っている。

 どこまでもストレートで主観的な筆致なのに──いや、だからこそ、リスナーそれぞれの物語と緊密に同化する、石崎ひゅーいが体現するスッポンポンの歌は、誰しもを受け入れるつもりでいる。裸になること。裸であること。裸にすること。ひゅーいは、徹底的にそれにこだわる。

 昨年7月にミニ・アルバム『第三惑星交響曲』でメジャー・デビュー。そのタイミングでインタビューしたときに、いつかかなえたい大きな夢として、彼は屈託のない笑顔を浮かべながらこんなことを口にした。

「いつか全裸でライブをやりたくて。武道館とか大きな会場で、ステージの装飾とかはせずに、満員のお客さんの前で、全裸でライブを2時間やるっていう。裸が好きなんですよね。べつに見せたいわけじゃないんですけど、裸のほうが本気を出せるから。それを芸術として見せられる自分の絶頂期がくればいいなと思ってます」

 初めてのMV撮影(「第三惑星交響曲」)のときも、ひゅーいは誰に言われるでもなく脱衣してカメラの前で歌い始めたという。結果的には着衣バージョンが正式なMV作品として採用されたが、ひゅーいにとっては、まずは何しろ現場でスッポンポンになって歌う、そのアティチュードを示すことが重要だった。そんなことを踏まえて、ついに完成した1stフル・アルバム『独立前夜』のジャケットを見れば、誰だってニヤリとするだろう。ひゅーいはこちらに背中を向けているが、たしかにスッポンポンになって、そこに座っている。

 『独立前夜』、何かが起きる直前に覚える予感。裸のシンガー・ソングライター、石崎ひゅーいが編んだ最初の物語集がここにある。全11曲、一曲一曲に至近距離で呼吸や鼓動に触れるに等しい強烈な生命力が吹き込まれ、極彩色のポップネスがその歌をはるか遠くのほうまで飛ばしていく。

 本作を聴いて、あ、そうか、と思った。石崎ひゅーいは、本質的な意味において、今最も、Mr.Children(桜井和寿)に迫る歌をうたっている。

(三宅正一)

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