a flood of circle ALBUM「I’M FREE」ディスクレビュー

I'M FREE

ALBUM

a flood of circle

I’M FREE

Imperial Records/テイチクエンタテインメント

2013.07.17 release

初回限定盤 <CD+DVD>
通常盤 <CD>


守勢から攻勢へ。その転換点となる記念すべきアルバム

 ギタリストの失踪、腱鞘炎でのベーシスト脱退とtokyo pinsalocks/GHEEのHISAYO加入を経て、3人組バンドとなったa flood of circle。何度も直面した逆境を創造力へと変えてきた彼らは、ボロボロになりながらも標榜する現在のブルース・ロックを図らずして体現し、a flood of circleをa flood of circleたらしめる楽曲の説得力を得てきた。

 そして、東日本大震災以降の混沌とした状況下で生まれた2011年の『LOVE IS LIKE A ROCK’N’ROLL』から約1年半。その間、レーベル移籍も果たした彼らがミニ・アルバム『FUCK FOREVER』、シングル「Dancing Zombiez」をリリースしながら、ようやく迎えた揺るぎない時のなかで、満を持して放つ5作目のアルバム『I’M FREE』は、彼らが攻撃に転じた一枚と言える。

 リリシストとしての成長著しいボーカル&ギターの佐々木亮介が吐き出す言葉は冒頭の「I’M FREE」から鋭さと性急な饒舌さを増し、ロマンチシズムを滲ませる「The Future Is Mine」や「オーロラソング」、気仙沼の小学生との会話がきっかけになったという「God Speed You Baby」、非正規雇用の時代を逆切れ気味に抗う「理由なき反抗(The Rebel Age)-Never Mind The Bollocks ver.-」など、現実とせめぎ合いながら描き出す歌詞世界は、アルバム・タイトルが示唆するように、その自由度を高めている。

 サウンド面においては、うねるようなグルーヴを弾き出すHISAYOのベースを内包したパワー・トリオを土台にギターを重ねることでバンドが持つ熱が渦巻くように封じ込められている。弥吉淳二をプロデューサーに迎えた「Dancing Zombiez」や、「The Future Is Mine」に代表されるライブ映えするアップ・テンポなロックンロール・ナンバーからループするビートを下敷きにした「Blues Never Die(ブルースは二度死ぬ)」、ストリングスをまとったアコースティック・バラード「月面のプール -Naked ver.-」、勝手にしやがれのホーン隊が参加した「理由なき反抗(The Rebel Age)-Never Mind The Bollocks ver.-」まで、ブルース感覚をアップデートした多彩な楽曲はバンドの成長を如実に反映。そうした詞曲が伝えるダイナミックな一体感は、この先、a flood of circleをあらたな高みへと誘うことだろう。

(小野田雄)

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