dip ALBUM「HOWL」ディスクレビュー

HOWL

ALBUM

dip

HOWL

DAIZAWA RECORDS/UK.PROJECT

2013.07.17 release

<CD>

※アルバム『OWL』も同時発売


一生もののロックンロール・アルバム

“ちょっといいな、このアルバム”と思うことは週1くらいであるけど、“これ、一生聴くだろうな”と思うことは5年に1回くらいしかない。いや、これは最高のロックンロール・アルバムである。

 dipの4年ぶりの新作『HOWL』『OWL』。フル・アルバムを2枚同時にリリースすること自体も驚きだったが、さらにすごいのがそのクオリティの高さ。尖りまくったエッジと質の高いポップ感を併せ持ったロックンロールがビッシリ詰まった『HOWL』、極上のサイケデリアとメンバー3人による奥深いインター・プレイが堪能できる『OWL』。この2作は20年を超える彼らのキャリアにおいて、ひとつの高みに到達していると断言していい。

 ヤマジカズヒデ(vo、g)を中心としたdipが活動をスタートさせたのは、’91年。オルタナティブなギター・ロック・サウンドと美しくも激しいメロディ、殺伐とした心象風景を映し出すリリックによって熱烈な支持を獲得、現在でもThe Birthday、MO’SOME TONEBENDER、ART-SCHOOLといったバンドからリスペクトされている、唯一無二の存在だ。メンバーの脱退、ヤマジの体調などによって活動が滞る時期もあったが、前作『afterLOUD』(’09年)からオリジナル・メンバーが集結。さらに昨年にはトリビュート・アルバム『9Faces』(MO’SOME TONEBENDER、POLYSICS、近藤智洋、チバユウスケなどが参加)が発売され、dip再評価の機運が高まってきたタイミングでの“アルバム2作同時リリース”である。なんかもう、勝手にガッツポーズしたくなるほどうれしい。

 ’90年代オルタナ直系のサウンドをさらに進化させていることが『HOWL』『OWL』の魅力の本質だと個人的には思っているのが(すべてのギター・フレーズがすさまじくカッコいいので、一瞬たりとも飽きない)、とにかく10〜20代の若いリスナーにぜひ手に取ってほしい。“聴きやすさ”とか“親しみやすいメロディ”とか“共感できる歌詞”みたいなことからは100万光年離れた、本物のロック・ミュージックがここにある。ブッ飛ぶよ、絶対。

(森 朋之)

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