aiko SINGLE「Loveletter/4月の雨」ディスクレビュー

Loveletter/4月の雨

SINGLE

aiko

Loveletter/4月の雨

ポニーキャニオン

2013.07.17 release

初回限定仕様盤
通常仕様盤/写真


手書きな恋心と景色に重ねた胸の内、好対照の2曲による新作

 ラブレター。直訳すれば恋の手紙。恋する想いを綴った手紙なんて、それだけで素敵である。とはいえ、時代はメール。机に向かうまでもなく掌にケータイ乗っけて、片手でチャチャッとピピッと打てる。書き間違いも怖くない。気に入った部分だけ残して コピペ、コピペ、コピペ。絵文字を使えば、言葉にならない部分のニュアンスだって伝えられる。なぁんて便利なの、と思うこともないくらい、今やそれがフツー。

 そんな時代に「Loveletter」。さすがaiko。単純に読みやすさだけで言えば、癖字もなければ書き損じもないメールの圧勝だろう。けれど人の手で書いたからこそのぬくもり、絵文字の面白さやかわいさを軽くしのぐ気持ちが入り込んだ筆跡には、やはり無敵な力がある。そこをaikoは歌にする。好きな人が自分に向けてくれた気持ちを、文字や行間からも読み取っては心の温度が急上昇、心拍数や体温さえ上がってしまう、そういう胸の内を描いてみせる。

 また軽快なロック・チューンに仕上げられたこの曲、バックの演奏に比べてボーカルが少しだけゆったりめに感じられるところもミソのような気がした。前のめりに相手に向かっていきそうな自分と、どこかでそれを怖がってる自分、その繊細な心のバランスみたいなものが、演奏とボーカルのタイム感の違いでうまく表現されているように思った。

 元々、想いを最初に言葉にするときは手書き。そのときの気分によって文字の大きさや文字の雰囲気、場合によっては文字を書くペンの色や種類も違う、というaiko。そんなaikoだからこその「Loveletter」なのかもしれない。どんなにいろんなものが進化して便利な世の中になっても、人の気持ちはいつだって手書きのようなもの。特に恋というデリケートな感情には手書きが似合う。そういったことまで感じさせられる曲に仕上げられている。

 一方、「4月の雨」は4月から配信中のaiko初の配信シングル曲で、「シードワンデーピュアうるおいプラス」のCMソングとしてもお馴染みの曲。フンワリしたキーボードの音も印象的なミディアム・バラードだが、なくした恋心の描かれ方が実に美しい。季節の移ろい、時の移ろい、移ろう心と移ろうことのない心……。それが雨に重ねられて、なんともきれいな日本語で綴られている。

 ところで、このシングルがリリースされる日はデビュー記念日。この日を持ってaikoは15周年を迎える。1998年7月17日にシングル「あした」でデビューして以降、世に放たれた数々の胸を打つaikoナンバーに、またふたつ心に染み入る歌が仲間入りする。

(前原雅子)

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