八王子P ALBUM「ViViD WAVE」ディスクレビュー

ViViD WAVE

ALBUM

八王子P

ViViD WAVE

トイズファクトリー

2013.07.17 release

初回盤 <CD+DVD>
通常盤 <CD>


相方“初音ミク”と共に確実にネクストステージへ

 ボカロ界の貴公子と呼ばれ、ボーカロイド・シーンを越えてロック・フェス“ROCK IN JAPAN”での熱狂DJプレイや、渡辺麻友、しょこたん(中川翔子)などへの楽曲を手がけていることで話題の新しい才能、八王子P。

 テン年代以降、ネット・カルチャーによって再構築されたダンス・ミュージック・シーンを盛り上げるべく、音声合成技術によるソフト=ボーカロイドである初音ミク、GUMI、鏡音リン・レン、巡音ルカ、IAを駆使して、快楽ポイントの高いハイエナジーなエレクトリック・サウンドをアウトプットし続ける日本を代表するボーカロイド・プロデューサーだ。

 昨年リリースされた、代表曲「electric love」を収録した1stアルバム『electric love』は、オリコン・デイリーランキング11位にランクイン。さらに台湾チャートでは3位を記録。注目度高まるなかで7月17日にリリースされた2ndアルバム『VIVID WAVE』は、さらなる進化を遂げている。きらめくシンセ・サウンドが圧倒的な迫力で襲いかかるような力強さが魅力だ。間違いなく今年ナンバー・ワンといっても過言ではない超ポップ・センスを解き放ち、EDM(※エレクトリック・ダンス・ミュージック)が根付かない日本シーンにおいて、巨匠デヴィッド・ゲッタ越えといっても気分的には間違っていないように思う。Perfume、きゃりーぱみゅぱみゅの成功によって、ダンス・ミュージック・シーンを制圧した鬼才プロデューサー中田ヤスタカに続く、新しい才能の誕生に立ち合っているのかもしれない。今夏、八王子Pの相方である“初音ミク”のボーカロイド・ソフトが海外でも発売され世界的ブレイクすることによって、その可能性はさらに現実味が増していくだろう。

 3曲目のGoogle+タイアップ・ソングとして話題の「fake doll feat. 初音ミク」は、王道ジャパニーズ・ハウス・チューンを、ボーカロイドが“歌”を奏でることによって空虚な時代感と完全にシンクロして“いま”の音を鳴らしていることも興味深い。6曲目「Dream Creator feat. GUMI」での、王道感に溢れためっちゃあがるアップリフト感もヤバい。7曲目「PARTY KiLLER feat. 巡音ルカ」は、八王子Pがリスペクトしている中田ヤスタカ率いるcapsuleを彷彿とさせるシリアスな未来派ダンス・ミュージックによって感情を解放させてくれる。9曲目「Little Summer of Love feat. GUMI」でのロック・テイスト溢れるサマー・ソングは、確実に今年の夏アンセムとなるだろう。10曲目で聴ける「IZAYOI feat. IA」は、ボカロ・シーンでは定番となっている“和”の世界観を描いた刹那ポップ・チューンだ。12曲目「フカヨミ feat. 初音ミク」でのシンプルなコード展開でのポップ・ソングは、それこそ日本ポップ市場向きなキャンディ・チューンだ。ミディアムなイントロから始まる、世界観の壮大な「ViViD WAVE feat. 初音ミク」も新感覚なポップ・センスで興味深かった。まさに、本作は八王子Pの快進撃がここから始まる“ファンファーレ”のように感じたことを告げておきたい。

(fukuryu)

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