tacica ALBUM「HOMELAND 11 blues」ディスクレビュー

HOMELAND 11 blues

ALBUM

tacica

HOMELAND 11 blues

SMEレコ—ズ

2013.07.17 release

初回仕様限定盤
通常仕様盤/写真 


差し出す手の逞しさ、引っ張る力の強さ

 2年3ヵ月ぶりのニュー・アルバム。まず、今作には「barefoot」と「bearfoot」という、よく似たタイトルの楽曲が収録されている。オープニングを飾る「barefoot」(=裸足の、という意味)は、「台本通りに生きる事に疲れただけ」、「人間は何故 暴風 豪雨に負けない体なら面白くもない その癖 それ程 器用じゃない生き物」という歌詞がアコギに乗り、一発録りのような生々しい質感で響いてくる。そして、7曲目に収録されている「bearfoot」(=同名のエフェクター・ブランドがあるけど、どんな意図で名付けたんだろう?)は、「計画通りに動く事に疲れただけ」、「人間は今 暴風 豪雨 最悪の事態 白旗を振りたいけれど 左手で右手押さえてでも 生き抜いて行く」という歌詞が、カントリー調の軽やかなバンド・サウンドで歌われる。あくまで推測しかできないが……この2曲を関連付けてみて伝わってくるのは、自分自身の素を受け止めながら、自分の道からブレずに、逞しく生きていこうとしている彼らの志だ。繊細ながら力強いギター・ロックと物語性の高い歌詞で、彗星のごとく音楽シーンに現れながら、活動休止を余儀なくされたり、復活のタイミングで東日本大震災に見舞われてしまったり、紆余曲折の道程を歩んできた彼ら。でも、だからこそ、生み出せるようになったメロディ、綴れるようになった言葉があるのだと、今作を聴きながら痛感している。

 ラストを飾る「DAN」は、これまでの彼らの楽曲の中で、最も希望が詰まっていると思う。「あの星の光から眼を逸らすな」、「叶わない夢なんてない」、「残り全部の命を使え」──シンプルながら、壮大な演奏の中で飛び出してくる、熱いフレーズの数々。そして最後はマーチとなって、リスナーを引き連れてどこまでも進んでいくように締め括られる。ずっとコアなファンに深く愛されているバンドではあるけれど、今作でバンドとファンの距離はもっともっと近付くのではないだろうか。共に寄り添いながら、この時代を生き抜いていくために、そっと抱きしめたい11曲。

(高橋美穂)

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