堂珍嘉邦 SINGLE「Euphoria」ディスクレビュー

Euphoria

SINGLE

堂珍嘉邦

Euphoria

Scalear

2013.07.10 release

<CD>


変拍子のクラリとくる浮遊感にもセンスの良さを感じる新曲

 音楽に限らず、ファッションにしてもスイーツにしても、なんにしても意外性のあるものは、それだけでとても素敵だ。そういう意味で思い出すのは、初めてニューヨークに行ったときに食べたブラック・ペッパー・チョコ・クッキー。今でこそスパイスを効かせたスイーツなど珍しくはないが、20年ほど前の日本には、スイーツにスパイスを効かせるなどという技も文化もほとんどなかった。なので、そのクッキーを怖いもの見たさと興味本位で口にしたときは、“?”と“!”が50個ずつくらい交互に頭をめぐる感じのショーゲキだった。

 人間、そういう“不意打ち”には、なかなか慣れないような気がする。今回の堂珍嘉邦の新曲「Euphoria」を聴いて、まずそんなことを思った。というのも、初ブラック・ペッパー・チョコ・クッキーを思い出すに足る、意外性も楽しい良きお味であったからだ。

 とにかく3拍子と4拍子が絶妙に絡み合った変拍子が醸し出す、当たり前ではない感覚は一度聴いたらクセになる。ことに拍子の変わり目の浮遊感は、心地よいめまい感とでも言えばいいのだろうか。全体にリズムがクッキリと立たせてある、だからこそ映える効果だと思うのだが、そのクラリとくる感じは実に印象深くかっこいい。

 また、そういう変拍子と相性も抜群な、刻むパーツと揺らぐパーツをうまく組み合わせたボーカルも耳に心地いい。しかも思うに、歌詞のテーマは音楽に寄せる想い。なおかつタイトルの意味は“多幸感、陶酔感”。そこも含めてセンスの良さを感じさせられる1曲だと思った。

 そしてカップリングの「Damaged Cupid」は、イントロのパンチのあるドラムからしてロックだぜ! バンドだぜ! といったアプローチ。ライブでのパフォーマンスが目に浮かぶタイプの楽曲だ。それがちょっと粘り気のあるスタイルのボーカルと、疾走感のあるサウンドが重なることで、わかりやすくロッカー・堂珍嘉邦の姿を炙り出して見せてくれる。

 この人、まだまだ“爪を隠していそう”。そう思わせられた3枚目のシングルである。

(前原雅子)

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