安室奈美恵 ALBUM「FEEL」ディスクレビュー

FEEL

ALBUM

安室奈美恵

FEEL

avex trax

2013.07.10 release

<CD+DVD> 写真
<CD+Blu-ral>
<CD>


モノクロームでも、強く、鮮やか。彼女の意気が伝わる一作

 前作『Uncontrolled』よりハードに。それでいてポップなスパイスも絶妙にまぶされている。それが安室奈美恵のニュー・アルバム『FEEL』の印象だ。

 彼女の右腕として多くのヒット曲を手がけてきたNao’ymtの参加は「Contrail」の1曲のみ。クレジットにはT.Kura&michicoの名前も、前作で大車輪の活躍を見せていたNERVO姉妹の名前もない。だが、そのぶん初顔合わせのK-POPや欧米のクリエイターが増加。フレッシュな空気を積極的に取り込もうとしている彼女の意気が伝わってくる。

 バラードは「Let Me Let You Go」のみで、他11曲はすべてダンサブルなナンバー。エレクトロ・ハウスやドラムンベースに始まり、プログレッシブ・ハウスや少しトラップぽい要素を感じる曲、トライバルなものやラテン・ビートを取り入れたもの、サウスはたまたニューオーリンズ・バウンス(?)みたいなものまで、あらゆるダンス・サウンドのエッセンスを異種混合させたビートがここには並んでいる。普段クラブ・ミュージックを聴かない人には十分に刺激的でエッジーなトラック群だが、彼女の歌声が乗るとキャッチーに聴けるから、アラ不思議。汗くささはデオドラントスプレーで抑え、オリジナル調合の魅惑的なパフュームをたたく、みたいな感じか。マニアックなにおいを消臭処理しつつ、味は残す、みたいな作り方が安室奈美恵はいつもうまい。

 味といえば、本作の安室奈美恵の歌声だ。これだけの多彩なサウンドをひとつに縫い上げる彼女の歌声が別格の存在感を持っていることを再確認すると同時に、オープニング曲のタイトル「Alive」じゃないけれど、今回の歌声にはたくましさや生々しさがすごく感じられる。

 ピアノとストリングスのシンプルな伴奏で聴かせる「Let Me Let You Go」の歌声はロックっぽいラフさを感じるエモーショナルなものだし、8月から始まるツアーで後半の盛り上げ部分のハイライトになるんじゃないかと予想する「Supernatural Love」のシャウトもパワフル。「Hands On Me」は拡声器のようなエフェクトがかけられているので臨場感があるし、「Heaven」のサビの声には強さと硬さがある。それでいて「Can You Feel This Love」では甘くコケティッシュな声でハジけ、「Poison」では男の体を舐め回すような艶めかしい低音ボイスで誘惑。昨年末の5大ツアーのときに生身感が伝わってくる歌い方をたくさんするように変わってきたなと思っていたが、そのスタイルの変化が本作にちゃんとパックされているように思う。

 心で感じてほしいという想いを込めて『FEEL』と冠された本作。安室奈美恵はモノクロームでも、強く、鮮やか。そんなことを感じた一枚だ。

(猪又孝(DO THE MONKEY))

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