aquarifa MINI ALBUM「月明かりのせいにして」ディスクレビュー

月明かりのせいにして

MINI ALBUM

aquarifa

月明かりのせいにして

redrec/sputniklab

2013.07.10 release

<CD>


強く優しい月になって、タブーも苦しみも照らす

 紅一点の岩田真知(vo、g)の柔らかな美声を生かした音楽性が魅力的な4人組、aquarifa(アカリファ)。昨年リリースした1stミニ・アルバム『scene』以降、“SUMMER SONIC”や“MINAMI WHEEL”への出演など数々の経験を踏んできて、このたび8曲を収録した2ndミニ・アルバム『月明かりのせいにして』を完成させた。全体的には、エモやポストロックを心身に馴染ませてきた世代が生み出す、あらたなるロックという印象である。

 幻想的な音像の『はじまりのおわり』から幕を開けるも、その空気を自ら破壊するようにエモーショナルな『Alice Blue』が続くという、ドラマティックな流れ。そういった練り上げられた曲順やアレンジの一つひとつから、バンドが抱く志の高さを感じさせられる。それでいて、歌詞には人間くささを越えた危うさが散りばめられているところが、気にならずにはいられない。“カッターナイフ 手首赤くなっても/中途半端で何処にも逝けないんでしょ”、“左手のこのフォーク いま 君 突き刺すんだ”──まるで、世の中の闇に隠されて見えていないところに、スポット・ライトを当てているかのよう。

 そこで思い出したのは、バンド名に込められた意味。aquarifaとは、アクアに浮かぶ月明かりという意味なのだそうだ。まるごとエキセントリックな歌詞やマニアックな曲にするわけではなく、あくまでポップに昇華しているところには、少しでも多くの闇の中にいる人たちを照らし出したいという意図があるのではないだろうか。壮大な演奏の中で、岩田の歌声のピュアネスが引き出されている「幼い靴」には、こんなフレーズがある。“捕らえたアゲハ蝶 羽根が折れた 戻りたい 戻れない ごめんね。/もっと優しい人になりたいよ まるで あなたのような”──ここからは、切ない物語の中に、彼らが音楽でやりたいことが詰まっているように聴こえてくるのだ。純粋に美しく逞しいロックとして受け取ることもできる。ただ、踏み込めば踏み込むほどにズシリと重く、ドキドキさせられる一枚である。

(高橋美穂)

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

M-ON! MUSICの最新情報をお届けします。

この記事に関するキーワード

この記事を書いた人