MY FIRST STORY SINGLE「最終回STORY」ディスクレビュー

最終回STORY

SINGLE

MY FIRST STORY

最終回STORY

INTACT RECORDS

2013.07.03 release

<CD+DVD>


内なる魔物と立ち向かうために

 結成から半年強というスピードで発表されたデビュー作『MY FIRST STORY』(’12年4月リリース)がいきなり2万枚、今年2月発表の2ndアルバム『THE STORY IS MY LIFE』は3万枚という近年では異例といえるセールスを弾き出し、さらに今年3月に行った初のクアトロ・ツアーも4ヵ所すべてが即日ソールドアウト──と、まさに破竹の快進撃を続けている“マイファス”ことMY FIRST STORY。この「最終回STORY」はキャリア初のシングルであり、また、その躍進をさらに勢いづけるに十分な渾身作だ。

タイトル・トラックの「最終回STORY」は、獰猛なギター・リフとスクリームが静謐な世界を切り裂くように鳴り響き、絶望と希望を激しく往還するようにストーリーが展開されていく。これまで構成やアレンジメントには、正直なところどこか定型的な印象もあったのだけれど、短くも濃厚なここ数年の経験によるフィードバックでサウンドは格段の深みと訴求力を獲得。何より心揺さぶられるのは、ボーカル・Hiroの、異様なまでに切迫したエモーションだ。渦巻く情念を吐き出さないことには自分自身が破綻してしまうとでもいうようなのっぴきならない衝動が、血の滲むような叫びと天を衝くメロディとなり、聴く者をダイレクトに射抜く。ラウド・ロック/スクリーモというジャンルに自らをフィットさせるのではなく、必然的な感情の発露だからこそ、どんどん定形からはみ出して独自の表現に昇華されてきたのだろう。敬愛するSTORY OF THE YEAR直系と言える哀愁と疾走感に満ちた2曲目「EXPERIENCE」も、井戸の底のような場所で罪悪感や喪失感に悶え、内なる魔物(のようなもの)と格闘するよう。一方、3曲目「「花」-0714-」はアコースティック・ギターとピアノをフィーチャーした新境地的ラブ・ソング。着実に表現の幅を広げているのは頼もしい限りだ。いずれの楽曲もサビ・メロなどは即シンガロング可能なほどキャッチーで、天性のメロディ・センスを感じさせる。まだ全員が20代前半。どこまで翔べるか、期待に胸を高鳴らさせて見守っていきたい。

(奥村明裕)

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

M-ON! MUSICの最新情報をお届けします。

この記事に関するキーワード

この記事を書いた人