flumpool SINGLE「大切なものは君以外に見当たらなくて/微熱リフレイン」ディスクレビュー

大切なものは君以外に見当たらなくて/微熱リフレイン

SINGLE

flumpool

大切なものは君以外に見当たらなくて/微熱リフレイン

A-Sketch

2013.07.03 release

初回限定盤/写真 <CD+DVD>
通常盤 <CD>


真摯で穏やかでエモーショナルな、flumpoolの現在形

 彼らの5年間の歩みを強く感じさせてくれる一枚だ。

 と、本題に入る前に、ちょっとだけ。今回、メンバー全員にインタビューをさせてもらっておいてなんなんだが、僕は少し前までflumpoolに対して浅はかな理解しかできていなかった人間である。それには、どうにもつかみどころに困るこのバンド独特の個性があったからである……というのは言い訳にしかすぎないので、陳謝したいのだが。そうした部分が実は4人の最大の武器であると知ったとき、誤解がいっぺんに解けた。もっとも、デビュー・アルバム時の宣伝コピーが“アイドルなのか。ロックなのか。どうでもいい。”だったことからもわかるように、彼らは当初から誤解されることも何も承知で、全部を呑み込んで活動してきたのだと思う。

 その“独特の個性”が生んだ“誤解”に関しては、flumpoolが奏でるポップ・ソングの質の高さが大きかった。ロックにはその人間が抱えるエモーションがさらけ出されたときに大きなエネルギーや破壊力を見せる表現が多いが、flumpoolの歌はひたすらキレイにバランスがとられており、枠をはみ出すようなことがない。楽曲の底にある元々の衝動を、上質なメロディとプロダクショニングのクオリティによって、あえて封じ込めることを身上としてきたようなイメージがある。ただ、それが昨年発表のアルバム『experience』の前後ではかなり加熱するようなライブをやるようになり、曲のエモ度も上昇してきている。山村隆太も、作を追うごとに自分の内面をストレートに歌うようになってきているのだ。

 「大切なものは~」には、山村の衝動がそのまま刻印されているかのようだ。ここでは、人間愛と言っていいほど大きな、温かみのある感情が歌われている。もっとも先ほどの流れから考えると、サウンドがもっとわかりやすくロックに寄ってもおかしくないのだが、そこで安直に流れることなく、きっちりとこれまでの道程を追求し、進化させているのは、もはや彼らの矜持ではないかとまで感じる。そう、この真摯で穏やかなエモさこそが、flumpoolの現在の姿なのだ。そしてアコースティック・ギターの響きを中心に据え、音色ごとのコントラストを効かせたアレンジは、5年にわたって極上のポップ・ミュージックに向けての鍛錬を積んできたバンドだからこそ表現できる境地である。ただ、これをライブの場で聴けば、それこそもっとエモくなるのでは? とも期待する。

 表題のもう1曲「微熱リフレイン」はこのバンドらしいキャッチーなナンバーだし、カップリングのMayday「OAOA」の日本語カバーからはリスペクトの念が伝わる。今まで歩んできた道のりの長さが、さりげなく、しかし、しっかりと見てとれるシングルである。

(青木優)

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