dustbox ALBUM「Care Package」ディスクレビュー

Care Package

ALBUM

dustbox

Care Package

Machine Records

2013.07.03 release

<CD>


隣で手を引っ張ってくれる音楽を生み出す覚悟

 タイトルの“Care Package”とは、親元を離れた学生などへの食料品などの救援小包や、親などからの差し入れという意味を指す。つまりdustboxは、リスナーを近い距離に思っていることが表れていると思う。前作『starbow』から2年8ヵ月。その間、世の中には、東日本大震災を筆頭に、様々なことが起きた。生真面目な彼らのことだから、“自分たちに出来ることは何だろう?”と、ずっと考えていたに違いない。しかも、全国各地のライブハウスで、キッズと顔と顔を突き合わせる日々を送ってきたのだから、なおさら生々しくその思いが募るはずだ。そこで生まれた『Care Package』。実際に、本当に困ったとき、辛いときに、家族や友達から届いた段ボールをパカッと開けるような気持ちで、今作を再生してみてほしい。母親の手作りのお惣菜や、父親が綴った手紙のように、ほわっと温かく、しかしガツンと力強く、あなたを明日に導いてくれるはずだ。

 先月リリースされた、盟友であり現在のメロディック・パンク・シーンを牽引する存在であるlocofrankとHAWAIIAN6と共に作り上げたスプリット・アルバム『THE ANTHEMS』には、ダストど真ん中! と言えるような4曲を収録していたが、それが今の彼らのモードと判断することはいささか早計だ。『Care Package』は、実にカラフルな仕上がりになっているから。まず、幕開けはファンタジー映画が似合いそうな「Dreamy Spaceship」。この曲で歌われているのは“これは現実なのか? それともこれは夢なのか? 確かに僕はここで歌っている”(和訳)という言葉──これだけ飛躍を遂げた今でも、彼らにとってライブハウスや音楽は、夢のような存在なのかもしれない。それを率直に歌うことで、その後の楽曲の数々が、リスナーに届きやすくなっていると思うのだ。

 メロディック・パンク・シーンが沈静化していた時期も、ひたすらに眩しい楽曲を作り続け、メジャー・デビューするもインディーズに立ち戻り、コツコツとライブを積み重ねてきて……といった、歴史を刻んできて今の彼らがある。そんな自分たちの紆余曲折を、すべて強いメッセージときらめく楽曲に代えて、ひとりでも多くの人を笑顔にしたいという覚悟が、今作からは聴こえてくるのだ。3人の人間性や思想が鳴っている、とても感動的な傑作。

(高橋美穂)

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