Base Ball Bear – RHYMESTERと声優・花澤香菜とのコラボ曲、さらには1時間超のライブ音源を収めた新作をリリースするBase Ball Bearの小出祐介に話を聞いた。

Base Ball Bear

ベスト盤『バンドBのベスト』、そして“新機軸”的シングル「PERFECT BLUE」の同時リリースで幕を開けた’13年のBase Ball Bear。そんな彼らが、約1年ぶりにミニ・アルバム『THE CUT』をリリースするが、この中身が本当にすごい、ぶっ飛んでいる。RHYMESTERをフィーチャリングに迎えたソリッドでファンクなタイトル曲「The Cut -feat. RHYMESTER」に、人気声優・花澤香菜をフィーチャリングに迎えた「恋する感覚 -feat. 花澤香菜」など、ギター・ロックの定石や固定概念を粉砕するような、“新しいギター・ロック”を彼らは打ち出している。ギター・ロックを愛し、同時にギター・ロックに飽きてしまった男=小出祐介。彼の批評眼により“切り”取られた、ギター・ロックのあらたな可能性とは?

INTERVIEW & TEXT BY 冨田明宏

“RHYMESTERさんのようになりたいな”と思ってしまうくらい(笑)

──ミニ・アルバムとしては約1年ぶりで、今回もコラボを中心とした作品になりましたね。

去年の同時期に『初恋』を出したとき、すごく手ごたえがあったんですよ。純粋にコラボを楽しめたというか。なので“またコラボものがやりたいな”と。でも、今回も同じようなモノを作ってもしょうがないので、もっと踏み込んだ、いわゆる“feat. 〜”のような楽曲を作りたいと思って。

──そこから、まずはRHYMESTERとのコラボに至った経緯は?

実は去年の『初恋』のときに、RHYMESTERさんにコラボのオファーはしていたんですよ。

──あ、そうだったんですか。

でも、そのときはタイミング的にRHYMESTERのアルバム制作と被ってしまっていて、どうしても時間が合わなくて。「次回、時間が合ったときにやろう」と言ってくださったので、今回お願いしたという感じで。

──ということは、昨年の段階からRHYMESTERとの楽曲制作に“青写真”は描けていた?

いや。“青写真”というほど計画的なものではなくて、完全に僕が“憧れの人とやるシリーズ”です(笑)。RHYMESTERさんは僕が中学生の頃から聴いている憧れの人たちですし、それからずーっとリアル・タイムで好きなんですよ。しかも、日本のヒップホップ・シーンが誕生した黎明期、“さんピンCAMP”(’96年に行われた伝説的ヒップホップ・イベント)の時代から活動しているにもかかわらず、今も時代の最先端の言葉と音で勝負されていて。それって、あまりにもすごすぎると思うんですよね。なおかつ、ヒップホップのフォーマットに則りながら“ポップ”であり、近年は“ポップス”的な要素も追求していて。純粋な気持ちで尊敬しているんですよ。“RHYMESTERさんのようになりたいな”と思ってしまうくらい(笑)。

すごくいろいろなことがあって。正直、かなり大変でした

──結果、タイトル曲「The Cut -feat. RHYMESTER」はこれまでのベボベが刻んできたリズムとは違う、冴えたファンクネスがあって。これがめちゃくちゃかっこいい。

うれしいです。でもこれに至るまでには、すごくいろいろなことがあって。正直、かなり大変でした(苦笑)。実はこの曲、ゼロの段階からRHYMESTERのふたり(Mummy-D、宇多丸)には入ってもらっていて。

──なるほど。それは珍しい。

そうなんですよ。RHYMESTERってこれまでもかなり客演はやってきているんですけど、こういうパターンはかなりレアだとRHYMESTERさんご本人も言っていましたね。曲のテーマを決めるところとか、サウンドの方向性を決めるところも、全部立ち会ってもらって、一緒に考えてもらったんです。

──だからだと思うのですが、これまでもRHYMESTERのメンバーはそれぞれジャンルを超えた客演をいろいろとやってきていますけど、今回のコラボの密着度、圧着感は他に類を見ないなと思って。

そうだと思いますね。今回は制作していく上でいくつか関門があったんですけど、第一関門としては“RHYMESTERをカッコよく録りたい”という思いがあったんですよ。僕はこれだけRHYMESTERが好きだし、日本語のラップも好きだから、ラップがカッコよく聴こえるトラックを僕なりに作りたいと。そこで3パターンくらいデモを作ったんです。AパターンはBPMがもっと速くて、熱いロックっぽい曲調のもの。Bパターンはこの「The Cut〜」の元になったもの。そしてCパターンは、もっとBPMが遅くてメロウな雰囲気のもの。その3つから選ぼうと。なんでBパターンになったかというと、Aパターンはいつもの我々らしいBPMなんですが、ラップを乗せるには速すぎて。BPM125くらいまでがいつもどおりのフロウが乗せられる限度らしいんですよ。歌い上げる系の、いかにも“良いこと歌わなければならない雰囲気”のメロウなCパターンもふたりは気に入ってくれていたんですけど、表題曲らしく、今回はアッパーにしようということでBパターンになって。

──「The Cut〜」のBPMだと、RHYMESTERのストロングなラップがビシバシ決まりますよね。

RHYMESTERの熱量がダイレクトに伝わる感じというか、そういう曲になったとは思いますね。

──その熱量に対する、小出さんの歌メロとバンド・アンサンブルの作り方にも試行錯誤があったかと思うのですが。

なにしろ、ラップがめちゃくちゃ強いわけですよ。ラップは1バースの中にフレーズを詰め込んで積み上げていく作り方ですけど、歌の場合はAメロ・Bメロ・サビ……と、1曲をとおして作っていくものなので、そもそも“在り方”が違うんですよね。それが混ざるとなると、そのバランスの取り方がすごく重要になってくるんです。もし僕が、RHYMESTER側の曲にフィーチャリングで入るならサビを歌うだけでいいんですけど、これはウチのバンドの曲なので、“Base Ball BearとRHYMESTERがきっちり競り合っている曲”にしなければならなくて。これがいちばん難しかった! しかも、ラップに合わせたBPMだと、実はバンドとして表現するにはすごく難しい。ウチの場合、最初にこのBPMでデモを作ったとしたら、完成に近づくうちにテンポを速くするか、遅くするかなんですよ。ギター・ロック・バンドとしては、中途半端なBPMで。だから今までの“Base Ball Bearメソッド”は通用しないぞと。

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