LEO今井 ALBUM「Made From Nothing」ディスクレビュー

Made From Nothing

ALBUM

LEO今井

Made From Nothing

EMI Records Japan

2013.06.26 release

<CD>


最先端の多国籍ミュージック

4年ぶりの新作は、その間に向井秀徳と組んだKIMONOSの影響も伺わせる熱気溢れる作品だ。“無”から作り出すというアルバム・タイトルは、自分を無にして悟りを開く修験者の言葉のようだが、どの曲にもギラギラした熱気がみなぎっているのが面白い。

初のセルフ・プロデュースでデモ音源を自分の思うところまで作り上げたことにより、今の彼がめざすものを実現させた。ライブも共に行っているメンバーとのレコーディングが、彼の満足する仕上がりを生んだようだが、楽器の音の一つひとつ歌の一言一句にも気を抜かないエナジーの注入作法は、向井との経験から得たものもあるように思える。本作発表と連動して始まったツアーを先日観たが、客席を横にしてステージに立ち、バンドのメンバーとアイコンタクトしながら進めるライブは予想以上にエモーショナルで、立ち位置と裏腹に真っ直ぐな彼の内にある何かが爆発するチャンスを狙っているように思えた。

日本人の父とスエーデン人の母を持ち、ロンドンや東京を行き来しながら育って来た彼の作り出す曲は、おそらく彼自身が意識している以上にユニークだ。これまで歌詞の日本語の部分は英語で書いたものを日本語に変換していたが、今回初めて日本語で直接書いたという。そのことも歌に変化を与えているのかもしれない。九州地方に伝わる民謡にインスパイアされたという「Ame Zanza」をはじめ、“無国籍”なエキゾチズムを感じさせる曲からは、そんな想像をしたくなる。一方「CCTV」のようにクールなエレクトロニカやニュー・ウェイブ風の「Doombox」、あるいはファンキーな「My Black Genes」などは、今日的でグローバルなサウンド指向が滲み出している。それは日本が好きな外国人が作るものとも、日本人であることに無自覚な日常を過ごしている我々が作るものとも違う。素直だが複雑で覚醒している。彼のようにハイブリットな人生を生きる人たちはどんどん増えていて、彼等が日本から世界に向け面白い音楽を発信していくのだろう。LEO今井が、その先鋒となっているのは確かだ。

(今井智子)

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