挫・人間 ALBUM「苺苺苺苺苺」ディスクレビュー

苺苺苺苺苺

ALBUM

挫・人間

苺苺苺苺苺

sputniklab

2013.06.19 release

<CD>


挫・人間の新作はトラウマ・レベルのこじらせ&恋愛ソング!?

「なんだこいつら、気持ち悪い」という嫌悪感と「めっちゃわかる。俺も大学生嫌い。どうせ死ぬのに一生懸命働いてる意味もわからない」という共感が交互に押し寄せてきて、頭を抱えたくなる。こういう感じって、どこかで味わったことがあるな——と思ったら、太宰治を初めて読んだときだった。

挫・人間の1stアルバム『苺苺苺苺苺』。’08年、ボーカルの下川諒を中心に“全人類への復讐”をテーマに掲げて熊本で結成。翌年、OKAMOTO’S、The SALOVERSも出場した“閃光ライオット2009”に参加、九州地区代表として決勝へ進出した彼らは’10年の4月に上京し、都内のライブハウスを中心に活動を続け、少しずつ確実にロック・ファンの支持を得てきた。本作『苺苺苺苺苺』は初の全国流通作品となるわけだが、なにかの弾みでこのアルバムを手に取った若者はきっと、良い意味でも悪い意味でも(トラウマという言葉を使いたくなるほどの)強烈なインパクトを感じることだろう。

このアルバム、そして、このバンドの軸になっているのは間違いなく、下川が放つ言葉だ。“実際死ぬのは怖いけど もう生きていく事もつらすぎる”(「人類」)、“ネットじゃいつでも強気な僕ちゃん!”(「何故だ!!」)、“死にたくなるからそばで 軽蔑してくれよ”(「サラバ17才」)といったこじらせまくったフレーズが大量にある一方、ロマンテックな恋愛(妄想)を描いた「キス!キス!キス!」、リリカルかつ抒情的な筆致で“死”を綴った「式日」も。ドロドロした感情をぶちまける覚悟、そして、どうしようもなく見え隠れしてしまうソングライターとしての才能がひとつになった彼の歌には、“これ、絶対に無視できないだろうな”という強烈な吸引力が確かに宿っているのだ。

めちゃくちゃに爆音をぶつけ合っているようでいて、実は’70年代パンク〜’80年代ニューウェイブなどにも通じる正統派のバンド・サウンドも聴けば聴くほど味がある。なんだか妙に悔しいが、このバンドがロック・ミュージックの本質をつかみ取っていることは認めざるを得ないだろう。

(森 朋之)

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