印象派 MINI ALBUM「Nietzsche」ディスクレビュー

Nietzsche

MINI ALBUM

印象派

Nietzsche

eninal

2013.06.19 release

<CD>


現代の“印象派”が放つ100%マンパワーの音楽に酔いしれる

現在の音楽シーンの主流である“アイドル”“エレクトロ”と(今やマニアックなジャンルになりつつある)ロックをダイレクトに結びつけ、まったく新しいポップ・ミュージックへと結びつける——って、この説明だけでは何のことかわからないかもしれないが、実際に音源を聴けば「なるほど!」と納得してもらえると思う。大阪在住のmica(vo)、miu(vo、g)によるツイン・ボーカル・ユニット、印象派。これまでに「ENDLESS SWIMMER/HIGH VISION」(’11年)、「SWAP」(’12年)の2作品をタワーレコード限定でリリース、シュアな耳を持つ音楽ファンの間で話題になっていた彼女たちによる1stミニ・アルバム『Nietzshce』(ニーチェ)は、ジャンル/シーンといった既存の枠組みを気持ちよく超越し、“まだ見たことがない、新しいことがここから始まる!”というワクワクするような予感に満ちている。

オープニング「VOLCANIC SURFER」を聴くだけでも、このユニットの新しさは十分に感じてもらえるはず。幾何学的な印象を残すギター・フレーズ、そして、“surfer”というコーラスとともに4つ打ちのリズムが鳴り始める。さらにギター・ロック〜80’sニューウェイブ〜ディスコ・ミュージックなどを自然に取り入れたハイブリッド・サウンド、儚くも美しい手触りを持ったボーカル・ライン、抽象的なイメージと現代的なメッセージを内包したリリックが広がり、聴く者を楽曲の世界へと引きずり込んでいくのだ。濃密な情報量を詰め込みながら、聴感上はシンプルなポップ・ソングとして成立しているところにも、彼女たちの際立ったセンスが感じられる。

もうひとつ記しておきたいのは、本作がすべて“打ち込みなしの100%人力”で作られていること。実際、曲のなかでリズムが揺れることがあり、それが“その瞬間、その場所でしか起こらない”奇跡のようなグルーヴを生み出し、何度聴いても飽きることのない中毒性へと結びついているのだ。それもおそらく、単なる偶然ではなく、彼女たちが意図的に選び取っているスタイルなのだろう。

80’sフレイバーとキッチュなコラージュ感覚に溢れた「SWAP」のミュージック・ビデオなど、ビジュアル/映像においても注目されている印象派。知る人ぞ知る、ではなく、ぜひエンターテインメント・シーンのど真ん中で活躍してほしいと心から願う。
 
 

(森 朋之)

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