MEG ZOMBIES + MEG SINGLE「KISS OR BITE/SAVE」ディスクレビュー

KISS OR BITE/SAVE

SINGLE

MEG ZOMBIES + MEG

KISS OR BITE/SAVE

キングレコード

2013.06.05 release

初回限定盤 <2CD>


MEGの新展開はゾンビとゲーム・ミュージック!?

 シンガーは歌うだけでいいのかというと、それがなかなか難しいのが今の時代。よく言われていることだが、メディアがこれだけ多様化すると、自身の“見せ方”への配慮がとても大事になってくる。そんななか、興味深い立ち振る舞いを見せてくれているのが、昨年、シンガー・デビュー10周年を迎えたMEGだろう。自身のブランド“CAROLINA GLASER”のほか、“Heather”など様々なアパレル・ブランドのデザインを担当するデザイナーであり、モデルとしても活躍する彼女は、曲のみならず、ファッション、ビジュアル、パッケージ、ネット、ライブ・パフォーマンスといった周辺要素も込みで“音楽の表現”を捉えている現代的アーティストだと言えるのではないだろうか。

 岡村靖幸、大沢伸一、小西康晴、中田ヤスタカ、前山田健一などの豪華作家人による楽曲を華麗に着こなしたアルバム『WEAR I AM』で、ロンドンのブランド“Eley Kishimoto”による布張りボックスを製作した彼女は、アルバムから約8ヵ月ぶりとなるニュー・シングルで、またもやあらたなアイデアと新展開を見せてくれた。最初に発表されたのは、彼女が“MEG ZOBMIES”と“MEG”というふたつの名義でシングルを同時リリースする、ということ。続いて、特設サイト内で、このふたつの世界観を体験できる8ビットのRPG「MEG THE WORLD」が発表された。このゲームには、MEGがゾンビにか噛まれてしまった過程が描かれており、BGMには“MEG ZOMBIES”の新曲「KISS OR BITE」の8bit ver.を使用。その後、“MEG”の新曲「SAVE」の8bitバージョンがBGMに使われた2ndステージが公開され、続く3rdステージをクリアすると、“MEG ZONBIES”のシングル「KISS OR BITE」と、彼女が戦士になって戦う“MEG”名義の「SAVE」のビデオ・クリップが見れるという内容になっていた。

 企画の面白さだけではなく、音楽的にもかなりコアな布陣をしいている。ゾンビになってしまった女の子が恋人を探して彷徨うダンス・ロック「KISS OR BITE」は、柴咲コウ、DECO*27とのユニット“galaxis”を組むTeddyLoidが、作曲とプロデュースを手がけ、ギタリストとして特撮のNARASAKIが参加。仮想現実とリアルが交錯するアップ・テンポのポップ・ナンバー「SAVE」は、ドラマ「夜行観覧車」や「35歳の高校生」の劇伴で知られる横山克が手がけている。さらに両シングルのカップリングには、ロロロの三浦康嗣が作詞、作曲、編曲を担当したミドル・ナンバー「グラジオラス―夢ならいいのに―」と「ワスレナグサ―夢を見ていた―」が、それぞれに収録されている。このコアとポップの狭間で絶妙のポジショニングをとる嗅覚はただものではないし、改めて、パッケージで手にとってほしいという強い思いも伝わってくる。さらに、スクウェア・エニックスのプロデューサーである市村龍太郎とCGアニメプロダクションの神風動画の協力で制作された全7種のトレーディング・カード「MEG THE WORLD TCG」も製作されており、このへんの展開も実にうまい。言うなれば、自らをニュース化できる才能と、様々なフィールドで活躍するクリエイターたちを繋ぐ、人としての吸引力が、彼女の表現を支えている一因でもあるのだろう。

(永堀アツオ)

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