Various Artists ALBUM「ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN COMPILATION 2013」ディスクレビュー

ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN COMPILATION 2013

ALBUM

Various Artists

ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN COMPILATION 2013

キューンミュージック

2013.06.05 release

<CD>


ジャーナリスティックなバンド、アジカンならではコンピ

 恒例イベント “NANO-MUGEN”の今年は、ライブハウスを巡るサーキット。大会場の横浜アリーナでの“NANO-MUGEN”も楽しいが、サーキットでピックアップされるアーティストの鮮度は抜群だ。そして、そうした出演者の代表楽曲を集めた“NANO-MUGEN”コンピ盤も、もはやすっかりおなじみの楽しみになった。もちろんこのシリーズ・コンピには、アジカンが新作を提供するのも恒例のエポックになっている。

 今年のアジカンの出品作は「Loser」。ベックのデビュー・ヒットのカバーだ。「俺は負け犬!」と自嘲気味に歌うこの曲の“アジカン日本語詞バージョン”は、スライド・ギターのイントロが印象的なナンバーとなっている。実はこの曲、アジカンの昨年のツアー“ランドマーク”のオープニング曲でもある。サポート・メンバー3人が加わったこのツアーは、彼らの歴史の中でも最高峰に位置付けられる内容だった。アジカンのリズムに対するアプローチの現状を、赤裸々に映した「Loser」のスタジオ音源は、シーンの動向を占う意味合いも持つスリリングな出来栄えだ。

 その“ランドマーク”ツアーでサポートを務め、女性コーラスとしてアジカンのサウンドに劇的な明るさを付与した岩崎愛の「花束」が素晴らしい。リラックスした声で、フォーキーな魅力をたたえながら歌う。

 僕にとっていちばんの発見は「花束」。アメリカのシンガーソングライターの豊かなメロディ・センスを受け継ぎ、ストーリー性のあるソングライティングとアレンジが素敵だ。その他、変拍子の「マイ・ロスト・シティー」や、実力派スペアザの「beautiful world」もいいなあ。またレンタルズの再結成に参加したサラ・ラドルのソロ「There’s A Change」は、アコースティック楽器の温かさを独特の解釈で聴かせてくれるのが、さすが。

ジャーナリスティックなバンド“アジカン”ならではのチョイスは、今の音楽シーンを同じミュージシャンとしての目線から捉えているところから生まれる。今作もとても意味のあるコンピになっていて、イベントへの期待を高めてくれる。

(平山雄一)

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