真心ブラザーズ SINGLE「消えない絵」ディスクレビュー

消えない絵

SINGLE

真心ブラザーズ

消えない絵

キューンミュージック

2013.05.29 release

初回生産限定盤/写真 <CD+DVD>
通常盤 <CD>


消えずに残り続けるポップ・ソングの行方

 奥田民生と真心ブラザーズによる新バンド、地球三兄弟のアルバム・リリースと全国ツアーを経て、その勢いのまま、全国ツアー“王道真心 ジャパンツアー2013”に出た真心ブラザーズ。シングルCDとしては’07年の「All I want to say to you」以来、実に6年振りとなる本作は、テレビ・アニメ「宇宙兄弟」のオープニング・テーマとして、作者の小山宙哉氏から依頼を受けて書き下ろされた爽快なロック・ナンバーだ。

 バンド・ブームのなかフォーク・デュオとして登場した彼らは、オルタナティブ・ロックから渋谷系の多彩な、洗練された音楽性と共振した時期を経て、ソウルやルーツ・ロックの探求。そして、’05年に4年間の活動休止から復活し、’09年の結成20周年を超えた先で肩肘を張らない独特なスタンスと地味深いロック・サウンドを共鳴させているが、長いキャリアを通じて、広げてきた作風、深めてきた味わいをどのような形で集約させるか。また、それをフレッシュに響かせるにはどうするべきなのか。世代を超えたリスナーそれぞれの異なる真心ブラザーズ像を踏まえながら、ベテラン・アーティストであるこそ到達し得た境地で音楽に向き合っているのが今の彼らであり、ピアノとオルガンを活かしたドライブするロックンロールはそんな彼らが描こうと試みている「消えない絵」そのものだ。そして、ギター・リフ主体で組み立てられているからこそ、長年培ってきた地力が際立って聴こえるカップリングの「今日があるさ」は、音楽と向き合い続けながら体得した山あり谷ありな日々の処し方、そのヒントがさらりと歌われている。長年のファンなら、この「さらり」としたタッチのさりげない円熟感に真心ブラザーズらしさを感じるだろうし、この作品で初めて彼らの音楽と出会うリスナーは、さらりとしたポップ感覚に気づいたらつかまれてしまうような、そんな普遍性が感じられる作品だ。

(平山雄一)

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