ティーナ・カリーナ SINGLE「あかん」ディスクレビュー

あかん

SINGLE

ティーナ・カリーナ

あかん

EPICレコード

2013.05.29 release

<CD>


関西弁が伝えるラブ・ソングの説得力

 昨年末、ミニ・アルバム『ティーナ・カリーナ』でのデビューから3ヵ月で日本レコード大賞、新人賞を受賞した女性シンガー・ソングライター、ティーナ・カリーナ。50社に送ったデモ音源のうちの1本が、MONKEY MAJIKやGReeeeNを輩出した仙台の音楽事務所、エドワード・エンターテインメントに認められ、田中里奈という本名をもじったティーナ・カリーナというアーティスト名のもと、地元の大阪から仙台に移住する形で音楽活動を本格化。この「あかん」は昨年10月にリリースされ、遠距離恋愛の心模様を関西弁で歌いつづった1曲として、一躍注目と賞賛を集めた「あんた」に続く2ndシングルだ。

 前作に続き、関西弁で歌われているタイトル曲は、ストリングスをまとったピアノ・オリエンテッドな楽曲に乗せ、ダメだとわかっているのにどうしても惹かれてしまう恋愛感情の揺れ動きをエモーショナルかつリアルに歌い込んでゆく。そして、ここでも耳を惹きつけられるのは、彼女が繰り返し繰り返し歌う“あかん”という言葉に象徴される関西弁のどこかエキゾチックな、そしてソウルフルな響きだ。

 関西弁とポップ・ミュージックの組み合わせといえば、古くは上田正樹や憂歌団、あるいはウルフルズや三木道三、ET-KING、SAKURAといった前例を挙げるまでもなく、決して珍しいものではないけれど、インターネットを介して、どこに住んでいても、瞬時に同じ情報が共有できることで地域ごとの個性がなくなりつつあると言われたりもしている今、彼女があえて打ち出すポップ・ミュージックの地域特性にハッとさせられるリスナーは少なくないはず。しかも、彼女は関西弁を用いることで、ご当地ゆるキャラが競い合っているような、奇抜さを売りにしているわけではなく、繰り返し出てくる“あかん”という言葉に異なる感情を含ませているところに関西弁を用いた理由、説得力が感じられ、また標準語で歌われているカップリングのポップ・ソウル・ナンバー「夏の魔法」、「最後のラブソング」との対比もこの作品の魅力的な聴き所となっている。

(小野田 雄)

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