Mr.Children DIGITAL SINGLE「REM」ディスクレビュー

REM

DIGITAL SINGLE

Mr.Children

REM

トイズファクトリー

2013.05.29 release

配信限定


REM睡眠の中で見たそれぞれの景色

 新曲「REM」を聴いていて、今年の彼らのツアーのオープニングを思い浮かべた。

 客席に向かって笑顔で呼びかけるのでも両手を広げて歓迎しているのでもない。「ここはどこ」「私は誰」と自問自答の迷路に迷い込んだような混迷感に満ちた始まり。さらに、そこに存在していると思ったマント姿のメンバーは、どこかに移動して消え去っている。

 優れたポップ・ミュージックは時代を反映している。なぞっているのではない。今、起きていることやニュースで伝えるような現象や事象を歌うのではなく、音や言葉の向こうに、今、僕らが生きている時代が反映されている。その人がどんな風に時代を見ているかを感じさせる。新曲「REM」も、そんな曲のように思う。

 探しているのは“出口”だ。“僕”は血を流している。でも、自分で、どうして血が流れているのかは理解していない。というよりできない。そして、“ここで何をしているの”“どこにいるの”とたたみかけ、“望んだ訳じゃない”と歌う。

 どんな場所にいるのか。グリム童話の中のヘンゼルとグレーテルが迷い込んだ世界だ。食べるものがなくなった両親に森の中に置き去りにされてしまい、魔法使いの老婆に食べられそうになってしまう兄と妹の物語──。

 ただ、それ以上は歌われない。どんな解釈や分析を加えようと聴き手の自由だ。少なくとも、今、子供にとって生きにくい時代であることは間違いないだろう。

「REM」というタイトルは、身体が眠っているのに脳が覚醒しているというREM睡眠から来ているのだそうだ。夢を見るのがその時間であることは広く知られている。桜井和寿は「潜在意識に眠っていた感情があらたな音になった」とコメントしている。これはミスチルじゃない、という人も、らしくない、という人もいるのかもしれない。でも、ひとつの言葉にも何通りの意味があり、その感じ方に正解はない、と歌ってきたのも彼らだろう。

“らしさ”のイメージを打ち破ったことにも、この曲の意味があるように思う。

 ’13年はREM睡眠のような時代なのかもしれない。僕らが見ているのは現実なのか夢なのか。夢から覚めたとき、どんな世界が待っているのか。そこに出口はあるのかどうか。彼らの潜在意識に映った’13年が、この曲と思うのは飛躍だろうか。  

(田家秀樹)

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