androp DVD&Blu-ray「androp music clips 2009-2012」ディスクレビュー

androp music clips 2009-2012

DVD&Blu-ray

androp

androp music clips 2009-2012

ワーナーミュージック・ジャパン

2013.05.22 release

<DVD>
※リリースはDVDのみ


新鮮さと斬新さに満ちた映像作品が並ぶ、初のMV集

 フィジカルなバンド・サウンドとエレクトロニックを絶妙にブレンドし、 静と動を活かした独自の音楽を追求するロック・バンド、androp。 彼らは、楽曲と同様アートワークにも強いこだわりを持っている。一貫性のあるCDジャケット、映像を巧みに使ったライブ、そして、楽曲を視覚面で最も明確に提示するのがミュージック・ビデオの存在だ。この「androp music clips 2009-2012」は、andropがこれまで発表してきた、フレッシュなアイデアに満ちたMVをコンパイルした映像作品である。MVは発表順に並んでいるため、andropの進化がわかるベスト盤的な側面も持ち合わせている。では、収録されたMVについていくつか触れていこう。

 androp初のMV「Roots」は、スピード感溢れる楽曲に合わせて、靴がテーマとなっている。歩く人の姿や絵のコマ撮りを織り交ぜた映像が小気味良い。「Colorful」のMVは、メロディアスで展開の多い楽曲を、そのままビジュアルに落とし込んだかのよう。白い部屋でカラフルなボールが跳ね回り、最後は外へと飛び出していく描写は、曲の持つポジティブさが反映されている。突き抜けるメロディの躍動感溢れるナンバー「MirrorDance」は、鏡と光、モノクロとカラーを効果的に使った作品。心の中の思いをラストに向かって解き放つ開放感がしっかりと伝わってくる。

 andropのMVは、実写とCGの組み合わせが特徴的だが、逆に「Bright Siren」は実写のみで作られた作品。250台のカメラのストロボが、プラミングで文字やアニメーションを描き出し、その前でバンドが演奏するアプローチが斬新。一転「Bell」は、曲の持つ走り出す感情をCGのみで表現している。アニメーションの犬が困難にぶつかりながらもひたすら走っていく、アクション・スクロール・ゲームをモチーフとした作品だ。

 浮遊感のあるメロディと力強いダンス・ビートの「World.Words.Lights.」は、白いテーブルの上で手作りのおもちゃが動き回るシーンのみで構成されている。それはまるで、人間の社会、日常を凝縮しているようでもある。

 andropのアグレッシブさを前面に出した「Boohoo」は、楽曲、MVともに彼らの新境地。バンドの演奏シーンを初めて前面に打ち出しつつ、赤、緑、青という光の三原色に映像が分離していく様は、ひとりの人間の持つ様々な思いを表しているようにも映る。ラストに、何げなく色の模様がタイトルになる瞬間も、ぜひ注目してほしい。

 そして彼らの最新MV「End roll」は、楽曲の世界観から派生したパラレル・ワールド的なショート・ムービーとなっている。長澤まさみ演じる主人公が、いろいろな壁にぶつかりながらも夢に向かって頑張る姿。おだやかなスロー・チューンを森の湖のほとりで演奏するバンドの姿。それは、andropが、彼女を音楽で優しく後押ししているように受け取れる。

 同じ手法を使わないandropのMVは、見るたびに新しい発見がある。彼らの世界観が音とビジュアルで一気に伝わる「androp music clips 2009-2012」を、じっくりと堪能してほしい。

(土屋恵介)

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